司法試験H20公法系科目第5問【大分県広告物条例事件の違憲審査基準について】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H20公法系科目第5問を解説していきます。

www.eityan-houritu.site

スポンサードリンク

 

〔第5問〕(配点:3) 次の文章は,街路樹への広告物掲出を禁止する県条例の違憲審査の基準について論じたものである。次のアからウまでの各記述につき,この見解に対する批判となり得る場合には1を,批判となり得ない場合には2を選びなさい (解答欄は,アからウの順に から ) 。 [№9] [№11]

「この県条例の目的とするところは,美観風致の維持と公衆への危害の防止であって,表現の内容はその関知するところではなく,広告物が政治的表現であると,営利的表現であると,その他いかなる表現であるとを問わず,その目的からみて規制を必要とする場合に,一定の抑制を加えるものである。もし本条例が思想や政治的な意見情報の伝達に係る表現の内容を主たる規制対象とするものであれば,憲法上厳格な基準によって審査されるが,本条例は,表現の内容と全くかかわりなしに,美観風致の維持等の目的から屋外広告物の掲出の場所や方法について一律に規制しているものである。この場合に,表現の内容を主たる規制対象とする場合と同じように厳格な基準を適用することは,必ずしも相当ではない 」。

ア. 表現の時,場所,方法について規制することによって実際上特定の内容を持つ表現だけを規制するような場合でも,緩やかな審査基準が適用されることになる。[№9]

イ. 表現の時,場所,方法について一律に規制する場合は,表現内容に対する規制の場合と比較して,規制者による恣意的な表現抑圧の危険が相対的に低いはずである。[№10]

ウ. 表現者にとって,特定の時,場所,方法で表現することと表現の内容とが同程度に重要である場合が少なくないことを見過ごしている。[№11]

出典

問題『司法試験H20公法系科目問題

解答『司法試験H20公法系科目解答

www.eityan-houritu.site

アについて

内容を規制するのではなくその場所や方法について規制し、さらに厳格な基準の適用は相当ではないとする見解なので、特定の思想内容であっても厳格な基準が適用されないという批判が成り立ちます。

そのため、解答は1となります。

イについて

前者の規制の方が、「ここは景観に反する」という恣意的な判断がなされる危険性が高いと考えられるため、解答は2となります。

ウについて

美観風致という目的のために、かえって表現者にとっての貴重な表現の機会を奪うことになるという批判が成り立つので、解答は1となります。

その場所が唯一の表現の場である場合があること等を考えると、理解しやすいでしょう。

 

www.eityan-houritu.site

スポンサードリンク