司法書士試験H28午前の部第17問【連帯債務と連帯保証】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法書士H28午前の部第17問を解説していきます。

 

第17問 連帯債務と連帯保証との異同に関する次のアからオまでの記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうち,どれか。

ア 連帯債務者の一人に対して履行の請求をした場合には,他の連帯債務者に対しても,消滅時効の中断の効力を生ずる。また,主たる債務者に対して履行の請求をした場合には,連帯保証人に対しても,消滅時効の中断の効力を生ずる。

イ 連帯債務者の一人に対してした債務の免除は,他の連帯債務者の利益のためにもその効力を生ずる。また,連帯保証人に対してした債務の免除は,主たる債務者の利益のためにもその効力を生ずる。

ウ 連帯債務者の一人が自らの債権を自働債権として相殺をした場合には,債権は,他の連帯債務者の利益のためにも消滅する。また,連帯保証人が自らの債権を自働債権として相殺をした場合には,債権は,主たる債務者の利益のためにも消滅する。

エ 連帯債務者の一人が死亡し,その連帯債務を債権者が相続した場合には,その連帯債務者が弁済をしたものとみなされる。他方で,連帯保証人が死亡し,その保証債務を債権者が相続した場合には,その連帯保証人が弁済をしたものとはみなされない。

オ 連帯債務者は,他の連帯債務者に弁済をしたことを通知しなかった場合には,既に弁済があったことを知らずにその後に弁済をした他の連帯債務者からの求償に応じなければならない。他方で,主たる債務者は,主たる債務者の委託を受けて保証をした連帯保証人に弁済をしたことを通知しなかった場合であっても,既に弁済があったことを知らずにその後に弁済をしたその連帯保証人からの求償に応じる必要はない。

1 アウ 2 アオ 3 イエ 4 イオ 5 ウエ

出典

問題『司法書士試験H28問題

解答『司法書士試験H28解答

アについて

民法434条
連帯債務者の一人に対する履行の請求は、他の連帯債務者に対しても、その効力を生ずる。
民法457条1項
主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の中断は、保証人に対しても、その効力を生ずる。

連帯債務者の場合、一人に対する履行の請求は他の連帯債務者に対して効力を生じ、主たる債務者に対して履行を請求した場合の時効中断の効力は連帯保証人にも生じます。 そのため、解答は◯となります。

イについて

民法437条
連帯債務者の一人に対してした債務の免除は、その連帯債務者の負担部分についてのみ、他の連帯債務者の利益のためにも、その効力を生ずる。
民法458条
第434条から第440条までの規定は、主たる債務者が保証人と連帯して債務を負担する場合について準用する。

連帯保証には負担部分がなく、債務の免除を規定する437条は適用されないため解答は✖となります。

ウについて

民法436条1項
連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅する。
連帯債務者が相殺を援用すれば債権はすべての連帯債務者の利益のために消滅し、これは458条より連帯保証人でも同じことになります。

そのため、解答は◯となります。

エについて

民法438条
連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は、弁済をしたものとみなす。

458条より、連帯保証人が死亡してその保証債務を債権者が相続した場合は、連帯保証人が弁済をしたものとみなされることになります。 そのため、解答は✖となります。

オについて

民法443条1項
連帯債務者の一人が債権者から履行の請求を受けたことを他の連帯債務者に通知しないで弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得た場合において、他の連帯債務者は、債権者に対抗することができる事由を有していたときは、その負担部分について、その事由をもってその免責を得た連帯債務者に対抗することができる。この場合において、相殺をもってその免責を得た連帯債務者に対抗したときは、過失のある連帯債務者は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
民法463条2項
保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、善意で弁済をし、その他自己の財産をもって債務を消滅させるべき行為をしたときは、第443条の規定は、主たる債務者についても準用する。

443条では連帯債務者の求償権について規定され、463条の規定はそれを準用するとしており、主たる債務者は連帯保証人からの求償に応じる必要があります。

そのため、解答は✖となります。以上、ア=ウ=◯・イ=エ=オ=✖なので解答は1となります。