司法書士試験H28午前の部第21問【財産管理権】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法書士H28午前の部第21問を解説していきます。

 

第21問 財産管理権に関する次のアからオまでの記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうち,どれか。

ア 親権を行う者は,自己のためにするのと同一の注意をもって,子の財産を管理しなければならない。

イ 親権者による子の財産の管理が不適当であり,子の利益を害する場合であっても,親権のうち管理権のみを喪失させることはできない。

ウ 未成年後見人が数人あるときは,家庭裁判所は,その中から,職権で,未成年被後見人の財産を管理する者を定めなければならない。

エ 成年後見人は,成年被後見人に代わってその居住用建物を売却するには,家庭裁判所の許可を得なければならない。

オ 後見人は,後見の事務を行うために必要な費用であっても,被後見人の財産からその支払をするには,家庭裁判所の許可を得なければならない。

1 アエ 2 アオ 3 イウ 4 イオ 5 ウエ

出典

問題『司法書士試験H28問題

解答『司法書士試験H28解答 

アについて

民法827条
親権を行う者は、自己のためにするのと同一の注意をもって、その管理権を行わなければならない。

827条より明らかなので解答は◯となります。

イについて

民法835条
父又は母による管理権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、管理権喪失の審判をすることができる。

835条によれば、親権のうち管理権のみを喪失させることができるので解答は✖となります。

ウについて

民法857条の2第1項
未成年後見人が数人あるときは、共同してその権限を行使する。

未成年後見人が数人あるときは共同で権限を行使するのであり、家庭裁判所は財産を管理する者を定める必要はないため解答は✖となります。

エについて

民法859条の3
成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。

成年後見人は居住用の建物を売却するには家庭裁判所の許可を得る必要があるので、解答は◯となります。

オについて

民法861条2項
後見人が後見の事務を行うために必要な費用は、被後見人の財産の中から支弁する。

必要な費用であれば裁判所の許可は必要ないため、解答は✖となります。以上、ア=エ=◯・イ=ウ=オ=✖なので解答は1となります。