司法試験民法短答式試験H28第35問【地上権及び土地賃借権】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H28民法第35問を解説していきます。  

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〔第35問〕(配点:2) 地上権及び土地賃借権に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№35])

ア.地上権と土地賃借権は,いずれも抵当権の目的とすることができない。

イ.土地所有者は,地上権者に対し,土地を使用に適する状態にする義務を負わないが,賃貸人は,賃借人に対し,土地を使用に適する状態にする義務を負う。

ウ.地上権者は,土地所有者の承諾を得ることなく地上権を第三者に譲渡することができるが,賃借人は,賃貸人の承諾又はそれに代わる裁判所の許可を得なければ,土地賃借権を譲渡することができない。

エ.判例によれば,地上権は時効により取得できるが,土地賃借権は時効により取得できない。

オ.土地について有益費を支出し,その価格の増加が現存する場合において,地上権者と賃借人は,いずれも,その選択に従い,支出した金額又は増価額の償還を土地所有者に請求することができる。

1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ

出典 問題『http://www.moj.go.jp/content/001182604.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001184007.pdf

アについて

民法369条
地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。

土地賃借権は抵当権の目的とすることができないため、解答は✖となります。

イについて

民法606条1項
賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。

賃貸人は606条1項により修繕義務を負うものとされていますが、土地所有者はそのような義務を負うことはありません。 そのため、解答は◯となります。    

ウについて

民法612条
賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。

地上権は譲渡の際に所有者の承諾が必要ありませんが、賃借人の賃借権の譲渡には賃貸人の承諾を得る必要があります。 そのため、解答は◯となります。

エについて

民法163条
所有権以外の財産権を、自己のためにする意思をもって、平穏に、かつ、公然と行使する者は、前条の区別に従い二十年又は十年を経過した後、その権利を取得する。

最高裁昭和62年6月5日判決では、民法163条による時効取得が土地賃借権にも認められています。そのため、解答は✖となります。

オについて

民法608条
賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。 賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第196条第二項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

608条では賃借人の必要費・有益費の費用償還請求権が認められていますが、地上権者については民法の規定がなく認められていないとされています。 そのため、解答は✖となります。

以上、ア=エ=オ=✖・イ=ウ=◯なので解答は3となります。

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