司法書士試験H27午前の部第9問【占有権】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法書士H27午前の部第9問を解説していきます。 

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第9問 占有権に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものは、幾つあるか。

ア 占有者は、その占有を第三者に妨害されるおそれがあるときは、その第三者に故意又は過失があるか否かにかかわらず、その第三者に対し、占有保全の訴えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる。

イ 建物の賃貸借契約により賃貸人の代理占有が成立する場合において、賃借人が当該賃貸借契約の終了後も当該建物の占有を続けていたとしても、当該賃貸借契約の終了により、賃貸人の代理占有は消滅する。

ウ 占有者がその占有物について有益費を支出した時は、善意の占有者は占有の回復者に対しその償還を請求することができるが、悪意の占有者は占有の回復者に対しその償還を請求することができない。

エ 占有者は、その占有物を第三者に賃貸して賃料を取得していた時は、通常の必要費を支出していたとしても、占有の回復者に対しその償還を請求することができない。

オ 土地の占有者は、当該土地の所有者からの所有権に基づく土地明渡請求に対し当該土地を所有者から使用貸借した旨の主張をするときは、その占有権原を違法に有することが推定されるので、当該土地使用借権の設定に係る事実について主張・立証する必要はない。

11個 22個 33個 44個 55個

出典

問題『司法書士試験H27問題

解答『司法書士試験H27解答

アについて

民法199条
占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる。

第三者の故意過失に関係なく占有を妨害されるおそれがあれば、占有保全の訴えで妨害予防・損害賠償の担保を請求できます。 そのため、解答は◯となります。  

 

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イについて

民法204条1項
代理人によって占有をする場合には、占有権は、次に掲げる事由によって消滅する。
一  本人が代理人に占有をさせる意思を放棄したこと。
二  代理人が本人に対して以後自己又は第三者のために占有物を所持する意思を表示したこと。
三  代理人が占有物の所持を失ったこと。

代理占有の場合、代理人が占有物の所持を失ったことで占有権は消滅するのであるから、占有を続けていれば代理占有は消滅しません。 そのため、解答は✖となります。

ウについて

民法196条2項
占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる

善意の占有者も悪意の占有者も有益費の償還を請求することができるので、解答は✖となります。

エについて

民法196条1項
占有者が占有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる。ただし、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費は、占有者の負担に帰する 

通常の必要費を支出していても占有者の負担となるため、解答は◯となります。

オについて

民法188条
占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定する。

判例:最高裁判決昭和35年3月1日

判例によれば、権利を主張する者に立証責任があるため、オの場合は土地の占有者が主張立証する必要があることが明らかです。

そのため、解答は✖となります。以上、ア=エ=◯なので解答は2となります。  

 

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