司法書士試験H27午前の部第6問【取得時効】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法書士H27午前の部第6問を解説していきます。 

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第6問 取得時効に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組み合わせは、後記1から5までのうち、どれか。

ア 建物の所有権を時効により取得したことを原因として所有権の移転の登記をする場合には、その登記原因の日付は、取得時効が完成した日となる。

イ Aが、B所有の甲土地について、Bとの間で使用貸借契約を締結し、その引き渡しを受けたが、内心においては、当初から甲土地を時効により取得する意思を有していた場合、Aは、甲土地の占有を20年間継続していたとしても、甲土地の所有権を時効により取得することはできない。

ウ 甲土地を10年間占有したことを理由として甲土地の所有権を時効により取得したことを主張する者は、法律上、その占有の開始の時に善意であったことだけでなく、無過失であったことも推定される。

エ Aがその所有する甲土地について、BのCに対する債権を被担保債権とし、Bを抵当権者とする抵当権を設定した後に、Cが甲土地の所有権を時効により取得した時であっても、Bの抵当権は消滅しない。

オ A所有の甲土地をAから賃借したBがその対抗要件を具備する前に、CがAから甲土地につき抵当権の設定を受けてその旨の登記をした場合において、Bが、その後引き続き賃借権の時効取得に必要とされる期間、甲土地を継続的に使用収益したときは、Bは抵当権の実行により甲土地を買い受けた者に対し、甲土地の賃借権を時効取得したと主張することができる。

1アエ 2アオ 3イウ 4イエ 5ウオ

出典

問題『司法書士試験H27問題

解答『司法書士試験H27解答

アについて

民法144条
時効の効力は、その起算日にさかのぼる。

時効の効力は起算日にさかのぼるので、登記原因の日付は「完成した日」ではありません。そのため、解答は✖となります。

 

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イについて

判例:最高裁判決昭和45年6月18日

要旨では「占有における所有の意思の有無は、占有取得の原因たる事実によつて外形的客観的に定められるべきものであるから、賃貸借が法律上効力を生じない場合にあつても、賃貸借により取得した占有は他主占有というべきである」と述べられます。

賃貸借によって取得した占有は他主占有であり、時効により所有権を取得することができません。そのため、解答は◯となります。

ウについて

民法186条1項
占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。

判例:最高裁判決昭和46年11月11日 判例によれば、無過失について主張立証責任を負うので解答は✖となります。

エについて

民法397条
債務者又は抵当権設定者でない者が抵当不動産について取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、抵当権は、これによって消滅する。

債務者か抵当権設定者でない者がその不動産について取得時効に必要な要件を具備する占有をすれば、抵当権は消滅します。

ただ、エは債務者Cが時効に取得しているので、Bの抵当権は消滅しません。そのため、解答は◯となります。

オについて

判例:最高裁判決平成23年1月21日

判例によれば、オの場合に賃借権を有するBは、取得時効に必要とされる期間、継続的に用益してもその不動産を買い受けた者に対して、時効取得を主張できないとされます。 そのため、解答は✖となります。

以上、イ=エ=◯・ア=ウ=オ=✖なので解答は4となります。

 

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