司法試験H25公法系科目第5問―〔憲法19条思想・良心の自由〕

みなさん、こんにちは!

今日は司法試験公法系科目H25の第5問を解説していきます。

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〔第5問〕(配点:3

憲法第19条の保障する思想・良心の自由に関する次のアからウまでの各記述について,bの見解がaの見解の批判となっている場合には1を,そうでない場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№9]から[№11])

ア.

a.思想・良心の意味は,人の内心における物の見方ないし考え方であり,事物に対する是非弁別を含む内心一般と捉えるべきである。

b.思想・良心の自由が保障される範囲を広範に捉えることは,その高い価値を低下させ,むしろ,その自由の保障を弱めるものである。[№9]

イ.

a.思想・良心の意味は,人生観,世界観,思想体系,政治的意見などのように人格形成に関連のある内心の活動と捉えるべきである。

b.憲法第19条は,「思想」と「良心」を併記し,同等にその自由を保障しているのであるから,「思想」と「良心」の概念を区別する必要はない。[№10]

ウ.

a.思想・良心の自由のうち,良心の自由については,信教の自由,とりわけ信仰選択の自由ないし信仰の自由と同じ意味に捉えるべきである。

b.欧米諸国では良心の自由と信教の自由が不可分とされてきた歴史もあるが,日本国憲法は第20条で信教の自由を保障しており,あえて良心の自由を限定的に解する必要はない。[№11]

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000111054.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000111535.pdf

アについて

思想良心を

  • 人の内心における物の見方・考え方
  • 事物に対する是非弁別を含む内心一般

とするのであれば、限られたものよりも意味を広げてしまって、限定するよりも価値を低下することになりかねません。そのため、解答は1となります。

イについて

思想・良心を

  • 人生観,世界観,思想体系,政治的意見などのように人格形成に関連のある内心の活動

とするのであれば、思想良心は分けて考えられておらず、b の批判は成り立たないことになります。そのため、解答は2となります。

ウについて

a の見解においては思想良心の自由のうち、良心の自由を「信教の自由」と同じ意味にするとしているが、憲法20条で「信教の自由」は保障されているのであるから、わざわざ良心の自由を信教の自由に限定する必要はないという批判が当てはまる。

そのため、解答は1となります。

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