司法試験民法短答式試験過去問解説H28第21問【保証】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H28民法第21問を解説していきます。

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〔第21問〕(配点:2)

保証に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№21])

ア.賃借人の保証人は,賃貸借契約が更新された後の賃料債務についても保証債務を負うが,賃料不払によって賃貸借契約が解除された場合,賃借人が目的物を返還しないことにより賃貸人に与えた損害の賠償については保証債務を負わない。

イ.建物賃貸借契約の存続期間中に賃借人の保証人が死亡した場合において,その相続人は,相続開始後に生じた賃借人の債務についても保証債務を負う。

ウ.身元保証契約において,使用者が,被用者に業務上不適任又は不誠実な事跡があって,そのために身元保証人の責任を惹起するおそれがあることを知ったときは,使用者は,遅滞なく身元保証人にその旨を通知しなければならない。

エ.貸金等根保証契約において元本確定期日がその貸金等根保証契約の締結の日から6年を経過する日と定められている場合,その元本確定期日は,その貸金等根保証契約の締結の日から5年を経過する日となる。

オ.根保証契約の元本確定期日前に根保証契約の主たる債務の範囲に含まれる債権が譲渡されたときは,その譲受人は,保証人に対し,当該保証債務の履行を求めることができない。

1.ア イ 2.ア エ 3.イ ウ 4.ウ オ 5.エ オ

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/001182604.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001184007.pdf

アについて

判例では賃料不払いで賃貸借契約が解除された場合に、賃借人の保証人は、賃借人が目的物を返還しない間に与えた損害も賠償する責任があるとされています。そのため、解答は✖となります。

イについて

判例では借り主が保証人を立てられないうえ担保も提供できないときには、死亡した保証人の相続人がその保証債務を相続することになります。そのため、解答は◯となります。

ウについて

身元保証法3条のおいて「1. 被用者が業務上不適格者であり,又は不誠実な業績があり,これにより身元保証人の責任を惹起する恐れがあることを知ったとき」が、遅滞なく身元保証人に伝えるケースの一つとされています。

そのため、解答は◯となります。

エについて

元本確定期日の定めがある場合で、それが契約の締結の日から5年を経過する日と定められているときには、その確定期日の効力は生じないことになります(民法465条の3)。

そのため、解答は✖となります。

オについて

判例では 「根保証契約の債権譲渡が元本確定期日前でも、当該根保証契約の当事者間でその債権の譲受人の請求を妨げるような別段の合意がない限り、保証人に保証債務の履行を求めることができる」とされています。

そのため、解答は✖となります。

以上、ア=エ=オ=✖・イ=ウ=◯なので解答は3となります。

 

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