正社員もバイトも休憩時間はある!―休憩時間は法律で定められます。

正社員、アルバイト、パート、働く皆さんは休憩する時間をきちんと取っていますか?

アルバイトやパートなど短い勤務時間の場合には休憩がないこともありますが、原則6時間以上勤務をする場合にはアルバイトであっても法律で休憩時間が定められています。

「忙しいからこのまま働いてね」

「人手が足りないから明日はほとんど休憩なしだよ」

こんなことを言われて休憩時間を取れないことはないでしょうか。今回は、アルバイトを始めとした働く方全員に向けて、休憩時間について解説していきます。

これを知っておけば、職場でのトラブルを回避することにつながります。当ブログは法律試験解説ブログですので、条文を交えながら見ていきたいと思います。

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労働基準法での休憩時間のルール

使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。
使用者は、第1項の休憩時間を自由に利用させなければならない

出典『労働時間 - Wikipedia

上記労働基準法第34条では休憩時間について定められていて

  1. 6時間以内の労働
  2. 6時間を超える労働
  3. 8時間を超える労働

この3つのケースで取得できる休憩時間が異なります。それぞれの場合を見ていくと・・・

  1. 6時間未満は義務なし
  2. 6時間以上8時間未満は45分
  3. 時間以上は60分

このようにそれぞれ休憩時間が定められています。1では義務がないと言えど10分休憩程度なら与えてくれるところがほとんどだと思います。

また、学校終わりにアルバイトをする学生は2のケースもあると思いますが、この場合には45分・会社員の方は8時間以上働くはずですから1日最低で60分は休憩が与えられることになります。

これは労働基準法で定められていることですから、この通りに休憩時間を取得できなければ当然に違法となります

「休憩時間少ないんだよな~」という人は、昨日・今日を振り返ってみてください。意外と法律に違反しているかもしれません。

 

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休憩時間の3つの原則とは?

先ほどの労働基準法34条を見直してみると、休憩時間には3つの原則があることが分かります。

その3つとは

  1. 労働時間の途中で与えられる(1項)
  2. 一斉に与えられる(2項)
  3. 自由に利用させる(3項)

という原則になります。以下で、それぞれがどんな原則なのか確認していきましょう。

1.労働時間の途中で与えられる

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1項にあるように休憩時間は労働時間の途中で与えられなければなりません。どういうことか示したのが上の図になります。

仕事が終わってから45分・60分の休憩を与えるのは法律違反になるので、上の図だと上段が適法・下段が違法ということになります。

 

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2.一斉に与えられる

2項では休憩時間は一斉に与えられなければならないとされています。職場全員で同じ時間に休憩時間を取得できないといけないということです。

そうはいっても全員が同時に休憩をとれない職場もあり、その場合は労使協定を締結しなくても休憩を与えることができます。それが、以下で示されている職業になります。

労働基準法施行規則第31条

四 道路、鉄道、軌道、索道、船舶又は航空機による旅客又は貨物の運送の事業
八 物品の販売、配給、保管若しくは賃貸又は理容の事業
九 金融、保険、媒介、周旋、集金、案内又は広告の事業
十 映画の製作又は映写、演劇その他興行の事業
十一 郵便又は電気通信の事業
十三 病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業
十四 旅館、料理店、飲食店、接客業又は娯楽場の事業

出典

安全衛生情報センター 昭和22年4月7日 法律第49号 別表第一

職場のあんぜんサイト

これに該当しない場合には原則一斉に休憩を与えられなければなりません。ただ、これに該当せずとも、一斉に休憩を取得することで業務に支障をきたす場合もあるため、その場合は労使協定を締結して交代で休憩を与えることができます。

3.自由に利用させる

3つ目の原則は休憩時間を自由に利用させるということです。イメージがしにくいかもしれませんが、例えば下記の2つの例が挙げられます。

  1. 電話番で机から離れられない
  2. 来客対応で会社から出られない

この2つは「当たり前になっているな~」という方も多そうですが、これは休憩時間を会社が制限している=つまり自由に使わせていないと考えられます。

そのため、この場合の時間は休憩時間ではなく労働時間として入れられる必要があるでしょう。とはいっても、会社独自の事情があることも考えられるので、専門家に相談することをおすすめします。

以上、労働基準法34条1項・2項・3項の休憩時間に関する規定は、アルバイトであっても同様です。

 

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休憩時間の給料は?

休憩時間を取ると、それは労働ではなく休憩となるためその間の賃金は発生しません。時給1000円・8時間労働なら8000円ですが、1時間休憩があるので実際は7000円の賃金ということになります。

また、職場・職種によっては、休憩時間とは別にトイレ休息などの休息時間を取ることもあるでしょう。これは、「休憩時間」とは別なので給料が少なくなることはありません。

飲食店だと「待機時間」というのがありますが、これは休憩ではなくお客さんを待って勤務を継続している状態になります。

特に、飲食店はブラックだと言われていますから、給料が引かれていないか確認してみましょう。

稼ぎたいから休憩なし?

当然、休憩時間が長ければ肉体的・精神的に負担はかかりませんから、勤務も楽なイメージがあります。ただ、休憩時間を取ることで給料が引かれるので、稼ぎたい人は休憩をとらないのがおすすめです。

そうするためには、労働基準法で休憩時間を与えることが定められていない6時間以下の勤務がおすすめです。そうしておけば、効率よくお金を稼ぐことが可能になります。

「6時間以上でも休憩をとらない!」という選択をしても、企業・店側としてはそれで倒れられたら違法となるわけですから、必ず休憩はとってほしいですし無理やりでも取らせようとするはずです。

そうすると7時間勤務の場合には実働が6時間15分で6時間勤務の人とあまり変わらず、時間が無駄になってしまいます。休憩不要で稼ぎたいアルバイトの方は、6時間未満のシフトを組むのがおすすめですよ。

 

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休憩時間が取れない!

ただ、実際に働いていると休憩時間が取れない日もあるでしょう。その場合は、休憩時間を取らずに労働時間のみであったとみなして、アルバイト先はその分の賃金を払う必要があります。

先ほどは職場で休憩時間を自由に使えない例を紹介しましたが、アルバイトの休憩時間でも電話対応に追われたり、時間を自由に使えなかった場合には賃金が支払われることになります。

また、時間外労働(1日の原則8時間を超えた労働)の場合には、原則25%の残業手当がつきます。さらに、1か月の労働時間が60時間を超える場合には、さらに25%手当がついて1.5倍で時給が計算されます。

※ただし、中小企業は1.25%とされています。

www.hori-law.jp

バイトをする前の確認

正社員の方よりもアルバイトの方たちは、ブラックバイトに巻き込まれないように注意が必要です。激務なのに休憩時間が全くないバイトですね。

そんなことがないように、面接の際に休憩時間・シフトの時間を確認する必要があります。6時間以上・8時間以上のシフトを組んだ場合の休憩時間を尋ねて、それで答えられなければ休憩が取られてない可能性もあります。

また、そこで休憩があると言われても、実際働いてみたら違ったということもあるでしょう。その場合に休憩時間を取らせない特別な理由がなければ「休憩時間が面接時と違っていたので辞めます」というべきです。

辞めないもののあまりにも状況がひどいようであれば、下記の期間に相談するのもいいかもしれません。

 

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休憩時間が取得できない場合の対処法

さて、正社員の方もアルバイトも休憩時間を取得できることを確認したうえで、 6時間・8時間以上の労働で休憩を取れない場合の対処法を見ていきましょう。

休憩時間も取れず疲労が溜まり続けると、特に学生は学校生活に支障がでるおそれがあります。勇気がいるかもしれませんが、自分のため職場の人のために相談してみましょう。

1.会社・職場の担当者や部署に相談する

職場で十分な休憩時間が与えられない場合、会社内の部署や機関に相談するようにしましょう。

そもそも会社内で認識が間違っている場合もありますからね。

  • 「休憩時間が適切に取れない」
  • 「改善してほしい」

こういったことを人事部などに相談しましょう。また、文書などで相談してみて、その後も改善されないようなら、その文書が動かぬ証拠となります。

とはいっても、ブラック企業などでは話を聞いてくれなかったり、厳しい職場だと休憩を取るのは間違っているような風潮もあるでしょう。

その場合には下記の労働基準監督署に相談することをおすすめします。

2.労働基準監督署に相談する

労働基準監督署は2018年現在で全国に321署あって、「労働条件の確保や改善指導、安全衛生の指導、労災保険の給付など」を行う行政機関になります。

労働監督署はみなさんのような労働者の強き味方で、誰でも無料で会社の状況や違法な行為を相談することができます。

労働基準監督署に相談することでアドバイスをもらえますし、何より是正勧告などを行ってくれるので、状況が改善する可能性が大幅に上昇します。

法律所だと何かとお金がかかりますから、まずは労働基準監督署に相談するのがいいですよ。

www.mhlw.go.jp

 

 

まとめ

さて、ところどころアルバイト向けの段落も挟んで休憩時間を紹介しましたが、いかがだったでしょうか。

最初にも述べているように、休憩時間は労働基準法で定められていますから、正しく与えられないようであればそれは「違法」です。そのため、ブラックだからといって泣き寝入りする必要は微塵もありません。

ぜひ、法律を味方にとって、正しい休憩時間を取得してください。

 

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