憲法判例〔ビデオリンク方式の合憲性〕憲法37条との関係について
みなさん、こんにちは!
今日は、いわゆるビデオリンク方式についての判例を見ていきます。
判決全文はこちらになります。
憲法37条1項・2項
すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
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争点
ビデオリンク方式は憲法82条1項、37条1項、2項前段に違反するか。
判決
刑訴法157条の3について
「証人尋問の際に,証人が被告人から見られていることによって圧迫を受け精神の平穏が著しく害される場合があ」ります。そのため
- 「その負担を軽減するために,そのようなおそれがあって相当と認められるときには,裁判所が,被告人と証人との間で,一方から又は相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採り」
- 「同様に,傍聴人と証人との間でも,相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる(以下,これらの措置を「遮へい措置」という)」
同法157条の4における性犯罪の被害者等の証人尋問について
「裁判官及び訴訟関係人の在席する場所において証言を求められることによって証人が受ける精神的圧迫を回避するために,同一構内の別の場所に証人を在席させ,映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話することができる方法によって尋問することができる」
⇒こうした方法が本件の「ビデオリンク方式」になります。
まとめ①
証人尋問が公判期日に行われる場合
- 傍聴人と証人との間で遮へい措置が採られ
- あるいはビデオリンク方式によることとされ
- さらには,ビデオリンク方式によった上で傍聴人と証人との間で遮へい措置が採られても
以上、3つのような事態になっても審理が公開されることに変わりはないため、こうした規定は憲法82条1項・37条1項に違反しないとしています。
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まとめ②
遮へい措置が採られる場合
被告人は証人の姿を見れませんが、供述を聞き自ら尋問も可能であり、この措置は弁護人が出頭している場合に限って採ることができ、弁護人による証人の供述態度等の観察は妨げられません。
⇒そのため「被告人の証人審問権は侵害されていないというべきである」としています。
ビデオリンク方式による場合
「被告人は証人の姿を見ながら供述を聞き,自ら尋問することができ」ます。
⇒「被告人の証人審問権は侵害されていないというべき」としました。
「さらには,ビデオリンク方式によった上で被告人から証人の状態を認識できなくする遮へい措置が採られても,映像と音声の送受信を通じてであれ,被告人は,証人の供述を聞くことはでき,自ら尋問することもでき,弁護人による証人の供述態度等の観察は妨げられない」
⇒「やはり被告人の証人審問権は侵害されていないというべきことは同様である」としました。
以上の2点の場合を考えても、遮へい措置やビデオリンク方式などを定める刑訴法157条の3・157条の4は憲法37条2項前段に違反しないとされています。
司法試験でも出題されています。
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