司法試験H24公法系科目第6問―【居住・移転の自由について】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H24の第6問を解説していきます。

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〔第6問〕(配点:3)
居住・移転の自由に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。なお,関連判例がある場合には,正誤は当該判例の趣旨に照らして判断しなさい。(解答欄は,アからウの順に[№10]から[№12])
ア.一定の伝染病の感染を防止するという目的から,都道府県知事が患者を強制的に隔離することは,居住・移転の自由における人身の自由の側面に向けられた直接的な規制といえるが,このような規制は,居住・移転の自由に対する必要な制約として是認される。[№10]
イ.転出入の際に市町村長への届出義務を課することは,居住・移転の自由におけるプライバシー権の側面に対する間接的な制約であるといえるが,住民の利便の増進に役立つものであり,制約を償うに足りる公共の利益が認められるので,このような制約は許される。[№11]
ウ.市町村長は,原則として転入届を受理しなければならない。ただし,市町村には住民の安全を確保する義務があるので,地域の秩序が破壊され住民の生命や身体の安全が害される危険性が高度に認められる場合には,転入届を受理しないことも許される。[№12]

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000098332.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000098848.pdf

アについて

何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

出典『日本国憲法第22条 - Wikipedia

憲法22条1項で述べられているように、居住、移転・職業選択の自由は「公共の腹心反しない限り」保障されています。

問題では伝染病による制約が問題となりますが、それを広げないことが公共の利益になると考えられます。ここから憲法に違反することはないと考えられるので、解答は1となります。

イについて

届け出を義務付けることはその人のプライバシーに対して間接的な制約になりますが、それによって選挙をしやすくなったりするなどの公共の利益につながります。

そのため、解答は1となります。

ウについて

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判例では「市町村長は,住民基本台帳法の適用が除外される者以外の者から同法の規定による転入届があった場合に,その者に新たに当該市町村の区域内に住所を定めた事実があれば,法定の届出事項に係る事由以外の事由を理由として転入届を受理しないことはできず」とされています。

ここにあるように、その者が新たな住所を定めた事実があれば、転入届を受理しないことは許されません。そのため、解答は2となります。

 

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