司法試験H25公法系科目第6問―〔表現の自由〕
みなさん、こんにちは!
今日は司法試験公法系科目H25の第6問を解説していきます。
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〔第6問〕(配点:3)
表現の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№12]から[№14])
ア.公務員としての行動に関する批判的論評が公務員の社会的評価を低下させる場合でも,その論評が専ら公益目的でなされ,かつ前提たる事実が主要な点において真実であることの証明があれば,論評としての域を逸脱していない限り,名誉毀損の不法行為は成立しない。[№12]
イ.新聞記事において批判を加えられた者が,名誉毀損の不法行為の成否にかかわらず,無料で反論文の掲載を当該新聞に求める権利については,公的事項に関する批判的記事の掲載をちゅうちょさせるおそれがあるので,具体的な法律がない場合には,これを認めることはできない。[№13]
ウ.憲法の禁ずる検閲とは,公権力が主体となって,表現物を対象とし,その全部又は一部の発表の禁止を目的として,表現物につき網羅的一般的に,発表前にその内容を審査した上で不適当と認めるものの発表を禁止することを,その特質として備えるものをいう。[№14]出典
アについて
最高裁では
・「その表現内容が真実ではないか又は専ら公益を図る目的のものでないことが明白であ」り
・「被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被るおそれあるとき」
この二点を満たせば事前差し止めが認められるとしています。ここから、真実である買には名誉棄損の不法行為が成立しない場合もあると考えられます。
よって、解答は1となります。
イについて
反論権を認めることで報道に萎縮的効果をもたらすことから、反論権は憲法21条により導かれる権利ではないとされています。
そのため、解答は1となります。
ウについて
最高裁では
①行政権が主体であるか
②それが思想の統制に当たるかどうか
③網羅的・一般的な禁止に当たるか
④事前規制である
これら4点に当てはまる場合には検閲に該当するとしています。ただしただの表現物ではなく「思想内容等の表現物を対象とし」としている点に注意が必要です。
よって、解答は2となります。
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