司法試験民法短答式試験H27第3問【代理】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H27民法第3問を解説していきます。

司法試験民法短答式試験H27第2問

〔第3問〕(配点:2) 代理に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№3]) ア.Aの代理人として土地を購入する権限を与えられたBが,Cとの間で甲土地の売買契約を締結する際に,Bの従業員Dに命じて甲土地の売買契約書に「Aの代理人B」という署名をさせた場合でも,AC間に売買契約の効力が生ずる。 イ.Aの代理人として土地を購入する権限を与えられたBが,Aの許諾を得て復代理人Cを選任し,CがDとの間で甲土地の売買契約を締結した場合,CがDに対しAのために売買契約を締結することを示しただけで,自らが代理人Bによって選任された復代理人であることを示さなかったときは,AD間に売買契約の効力は生じない。 ウ.Aの代理人として土地を購入する権限を与えられたBが,CのBに対する詐欺により,Aのためにすることを示してCとの間で甲土地の売買契約を締結した場合,Aは,その売買契約を取り消すことができない。 エ.Aの代理人として土地を購入する権限を与えられたBが,Cから甲土地を売却する権限を与えられてCの代理人にもなり,A及びCを代理してAC間の甲土地の売買契約を締結した場合,Bが双方代理であることをA及びCの双方にあらかじめ通知したときは,AC間に売買契約の効力が生ずる。 オ.Aの代理人として土地を購入する権限を与えられたBが,Aのためにすることを示さずにCとの間で甲土地の売買契約を締結した場合,BがAのために売買契約を締結することをCが知ることができたときは,AC間に売買契約の効力が生ずる。 1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ 出典 問題『司法試験H27民法短答式問題』 解答『司法試験H27民法短答式解答

アについて

代理人BがDに対して、自身が代理人であることを示して顕名を行っていることから売買契約は有効になることが分かる。

顕名ではDが代理人になっているわけではないので、なんら問題はないと思われます。

そのため、解答は◯となります。

イについて

民法99条1項 代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。

本人のためにすることを示しているため、代理行為の要件を満たしていることが分かります。契約は有効となるため、解答は✖となります。

ウについて

民法101条 意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。 特定の法律行為をすることを委託された場合において、代理人が本人の指図に従ってその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。

詐欺や強迫などで契約が無効となったりするのは代理人を基準に判断するとされており(1項)、代理人が詐欺されているのであればAは取り消すことができます。

ただし、その詐欺の事実を知っていたりすると取り消すことはできません(2項)。

問題では特にそういった事情も見られないので、Aは取り消すことができるでしょう。そのため、解答は✖となります。

エについて

民法108条 同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りではない。

自己契約・双方代理は禁止されていますが、あらかじめ許諾された行為であれば有効なものとなります。

通知するだけでは足りないので解答は✖となります。

オについて

民法100条 代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、前条第1項の規定を準用する。

代理人が本人のためにすることを示さずに契約を締結しても、相手方が悪意か有過失であれば契約は有効となります。

そのため、解答は◯となります。以上、ア=オ=◯・イ=ウ=エ=✖なので解答は2となります。

 

司法試験民法短答式試験H27第4問