【監獄法事件】委任立法と監獄法の関係 最高裁平成3年7月9日判決

みなさん、こんにちは! 

今日は、監獄法事件を解説していきます。

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事件

被上告人はFとの面会許可の申請を行ったが、所長は監獄法施行規則に基づいて面会を許可しなかった。

そして、Fは未決勾留中の被上告人との面会を申請するが、所長による許可が下りなかった。

争点

監獄法施行規則の各規定は監獄法50条の委任の範囲を超えているか。

判決

法45・50条について

法45条は、被勾留者と外部の者との接見は原則としてこれを許すものとし、例外的に障害発生の防止のために必要な限度で接見に合理的な制限を加えることができるとしています。

→被勾留者との接見を求める者が幼年者でも同じである。

これを受けて法50条では、命令(法務省令)をもって必要な制限をできる旨を定めるが、命令で許可基準そのものを変更することは許されていません。

 

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規則について

規則120条は原則として被勾留者と幼年者との接見を許さないこととしている。

その一方で、規則124条はその例外として限られた場合に監獄の長の裁量によりこれを許すこととしていることが明らかである。

しかし、この規定に関して以下のように述べます。

「たとえ事物を弁別する能力の未発達な幼年者の心情を害することがないように配慮の下に設けられたものであるとしても、それ自体、法律によらないで、被勾留者の接見の自由を著しく制限するもの」としました。

法50条の委任の範囲を超えている

まとめ

「被勾留者も当該拘禁関係に伴う一定の制約の範囲外において原則として一般市民としての自由を保障され」ています

「幼年者の心情の保護は元来その監護に当たる親権者等が配慮すべき事柄であることからすれば、法が一律に幼年者と被勾留者との接見を禁止することを予定し、容認しているものと解することは、困難」としました。

そして「規則120条は、法の容認する接見の自由を制限するものとして、法50条の委任の範囲を超えた無効のもとのいうほかない」と結論づけました。

練習問題

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合っていれば〇、間違っていれば✖で答えよ。

判例は,被勾留者には一般市民としての自由が制約されることを理由に,14歳未満の者との接見を原則として認めていなかった当時の監獄法施行規則を委任の趣旨の範囲内とした。(司法試験H27 大問14 ウ)

解答✖

 

委任立法についてはこちらもご覧ください

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