【長良川事件報道訴訟】少年事件の推知報道とプライバシー権の関係
みなさん、こんにちは!
今日は、長良川事件報道訴訟を解説していきます。
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争点
少年法61条で禁止されている推知報道の判断基準はどのようなものか。
判決
少年法61条の禁止する推知報道にあたるかどうかは、「不特定多数の一般人がその者を当該事件の本人であると推知することできるかどうかを基準にして判断すべき」とします。
本件記事について
「被上告人の当時の実名と類似する仮名が用いられ、その経歴等が記載されているものの、被上告人と特定するに足りる事項の記載はない」とします。
そのため「被上告人と面識等のない不特定多数の一般人が、本件記事により、被上告人が当該事件の本人であることを推知」できないとしました。
以上より、本件記事は少年法61条の規定に違反しないとされます。
本件記事が名誉棄損・プライバシー侵害の不法行為が成立するか否かは、「被侵害利益ごとに違法性阻却自由の有無等を審理し、個別具体的に判断するべき」ものとします。
プライバシーの侵害について
「本件記事が週刊誌に掲載された当時の被上告人の年齢や社会的地位、当該犯罪行為の内容、これらが公表されることによって被上告人のプライバシーに属する情報が伝達される範囲と被上告人が被る具体的被害の程度、本件記事の目的や意義、公表時の社会的状況、本件記事において当該情報を公表する必要性など、その事実を公表されない法的利益とこれを公表する理由に関する諸事情を個別具体的に審理し、これらを比較衡量して判断することが必要」としました。
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まとめ
以上、見てきたように本件は推知報道には該当せず、プライバシー権の侵害も認められないとされました。
推知報道に関しては「不特定多数の一般人がその者を当該事件の本人であると推知できるかどうか」を基準とすべきだとされました。
「特定多数」ではなく「不特定多数」としている点に注意が必要ですね。
練習問題
合っていれば〇、間違っていれば✖で答えよ。
ウ.少年法第61条が禁止する推知報道に該当するか否かは,少年と面識のある特定多数の者あるいは少年の生活基盤としてきた地域社会の不特定多数の者が,少年を当該事件の本人であると推知することができるかを基準にして判断すべきである。(司法試験H27 第4問 ウ)
解答 ✖
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