【国籍法違憲判決】―日本国籍取得の際の差別について

みなさん、こんにちは!

今日は、国籍法違憲判決を解説していきます。

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争点

国籍法3条1項は、日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子に関して、父母の婚姻により嫡出子の身分を取得した(準正のあった)場合に限定して日本国籍の取得を認めていました。

この「国籍の取得」に関する区別が生じていることと憲法14条1項の関係が問題となります。

すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

出典『日本国憲法第14条 - Wikipedia

判決

本件の区別に関しては、この区別を生じさせた立法目的自体に合理的な根拠は認められるものの、立法目的との間における合理的関連性は、我が国の内外における社会的環境の変化などによって失われてきました。

諸外国では、非嫡出子に対する法的な差別的取扱いを解消する動きがみられました。

そのため、今日では国籍法3条1項の規定は、日本国籍の取得について合理性を書いた過剰な要件を課すものとなっているとします。

さらに、本件区別は、日本国民である父から出生後に認知されたにとどまる非嫡出子に対して、日本国籍の取得において著しく不利益な差別的取り扱いを生じさせていると言わざるを得ないものでした。

国籍取得の要件を定めるに当たって立法府に与えられた裁量権を考慮しても、この結果について、上記の立法目的との間において合理的関連性があるものとは言うことはできない。

そうすると、本件区別は、遅くとも上告人らが法務大臣あてに国籍取得届を提出した当時には、立法府に与えられた裁量権を考慮してもなおその立法目的との間において合理的関連性を欠くものとなっていた。

まとめ

本件区別は合理的な理由のない差別となっていたと言わざるを得ず、国籍法3条1項の規定が本件区別を生じさせていることは、憲法14条1項に違反するものであったというべきである。

以上、判決の最後の部分を見てきたように、国籍法3条1項が憲法14条1項に違反して違憲とされました。

その後に法改正がなされたように、「法令違憲」であるという点に注目しておきましょう。

 

司法試験での出題もされています。

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