憲法判例【在外邦人選挙権制限違憲訴訟】と国会議員の立法不作為
みなさん、こんにちは!
今日は、在外邦人選挙権制限違憲訴訟を解説します。
参考は最高裁判決になります。
争点
在外邦人に選挙権を認めていないことが憲法15条、43条但し書きに違反しないか
判決
国民の選挙権をする場合は拘禁される者に選挙権を認めないことを別として
「国民の選挙権又はその行為を制限することは原則として許されず、国民の選挙権又は行使をするためにはそのようなそのような制限をすることがやむを得ないと認められる事由がなければならない」
→選挙権を制限するには相当な理由がないといけない
そして、選挙権を制限をしない場合に
「選挙の公正を確保しつつ選挙権の行使を認めることが事実上不能ないし著しく困難であると認められない事由でない限り、上記やむをえないと認められる事由であるとはいえ」ない、として憲法15条、44条但し書きに違反するとしました
↓
制限するときにはそれをしない場合に、選挙を適正に運営することが難しいなどの理由がない限り選挙権の制限は許されない
また、選挙権の行使をするために必要な措置を取らない(立法措置)立法不作為で、国民が選挙権を行使できない場合もやむをえない事由がないといけないとしました。
さらに、この訴訟以前に在外邦人に選挙権を認める公職選挙法改正案が提出されていました。
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それが廃案となった後のことについて
「国会が10年以上の長きにわたって在外選挙制度を創設しないまま放置したことは、やむをえない事由があったとは到底いうことができ」ないとしました
→憲法15条、43条但し書き違反
確かに、10年以上もあれば選挙権を行使にするために、制度の1つ、2つはつくれるはずですよね。
国家賠償請求が認められるかどうかについて
「立法の内容又は立法不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害することが明白な場合」
「国民に憲法上保障されている権利行使の機械を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり、それが明白であるにもかかわらず国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などには、例外的に国会議員の立法行為又は立法不作為は、国会賠償法の規定の適用上、違法の評価を受ける」
↓
上記の場合には、例外的に立法不作為が違法の評価を受け、損害賠償の対象になるとしました。
このように今回の判例では理由もない制限は憲法違反としました。また、立法不作為により在外邦人に選挙権を認めない公職選挙法も憲法違反です。
今回は、例外的に立法不作為に対して国家賠償請求が認められる判例でした。
かなり頻出の判例なので上記の判決の内容は必ず覚えておきましょう。
立法不作為についてはこちらもご覧ください。
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