司法試験憲法短答式試験過去問解説H30第14問【憲法9条】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験憲法第14問を解説します。

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 問題

〔第14問〕(配点:2)
憲法第9条に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№34])

ア.憲法第9条第2項が保持を禁止した戦力とは,我が国がその主体となってこれに指揮権,管理権を行使し得る戦力に限られず,我が国との安全保障条約に基づき我が国に駐留する外国の軍隊も,我が国の要請に応じて武力を行使する可能性があるので,同項の戦力に該当し得る。

イ.憲法前文が定める平和的生存権は,憲法第9条及び第3章の規定によって具体化され,裁判規範として現実的・個別的内容を持つものであるから,森林法上の保安林指定の解除処分が自衛隊の基地の建設を目的とするものである場合,周辺の住民は,同処分の取消訴訟において,平和的生存権の侵害のおそれを根拠として原告適格を有する。

ウ.国が自衛隊の用地を取得するために私人と締結した土地売買契約は,当該契約が実質的にみて公権力の発動たる行為と何ら変わりがないといえるような特段の事情のない限り,憲法第9条の直接適用を受けず,私人間の利害関係の公平な調整を目的とする私法の適用を受けるに過ぎない。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×

3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×

5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

http://www.moj.go.jp/content/001258873.pdf

 解説

①アについて

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砂川事件では、9条で禁止される「戦力」とは日本が指揮権・管理権を行使できるものをいい、外国の戦力は駐留していてもそれは外国の指揮下・管理下にあるため、9条で禁止される「戦力」には当たらないとした。

よって、答えは「×」となります。

 

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②イについて

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長沼ナイキ基地訴訟では、周辺住民の原告適格は認められていましたが、保有林に代わる代替施設としてダムが設けられたことで、周辺住民の訴えの利益は失われ、原告適格を有しないとされました。

そのため、答えは「×」となります。

 

③ウについて
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土地の売買契約は私人と対等の立場に立って行われたものであれば、憲法9条が直接適用される余地はなく、私人間の利害関係を調整を図る私法の適用を受けるのみとしました。

よって、答えは「〇」となります。

以上より、ア=イ=×でウ=〇となるため答えは「7」となります。

 

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