司法試験問題付き憲法判例~マクリーン事件と政治活動の自由

みなさん、こんにちは!

今日は、マクリーン事件を解説します。

参考は最高裁判決になります。

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争点

本件原告(マクリーン)は、在留理由を語学の非常勤講師で学校で働いていたが、勝手に職場変更し政治的運動に参加。

これが不当なものだったとして、法務大臣は在留更新を不許可にしました。その後の滞在期間は出国準備期間とした。

外国人に政治活動の自由が保証されるか、法務大臣の在留更新不許可処分は適法かの2つが争点になります。

判決

外国人が日本にいる権利について

「憲法上、わが国に在留する権利ないし引き続き駐留することを要求しうる権利を保障されていない」

外国人の在留は、法務大臣が決めることで、「法務大臣の裁量に任せられている」。

裁判所がそれを審査できるかどうか

その判断の基準とされた重要な事実に誤認があること等により右判断が全く事実の基礎を欠くかどうか、又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により右判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるかどうかについて審理し、それが認められる場合に限り、右判断が裁量権の範囲を超え又はその乱用があったものとして違法であるとすることができる」

この基準に照らし合わせて、その判断が違法かどうかを検討します。

ただ、政府の著しく合理性を欠く判断は少なく、政府の判断が尊重されることも多い

外国人の在留決定は法務大臣の裁量次第であり、その判断は上記のようなものでない限り違法にならないということ。

 

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外国人の政治活動が認められるのかどうか

「政治活動の自由に関する憲法の保障は、わが国の政治的思想意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、本国に在留する外国人に対しても及ぶ」

要は、日本の政治的意思決定などに影響を及ぼす政治的活動に保障は及ばない。それ以外の政治的活動なら、憲法によって保障されているということ。

確かに日本の意思決定は外国人ではなく、本国の国民で行うことが望ましいことです。

そのため、外国人に国政レベルの選挙権が、認められていないのもこの現れといえます。

まとめ

今回の判例では、最初に挙げたものが争点

・外国人に政治的活動の自由は保障されているか

・処分は法務大臣の裁量権の範囲内か

上記みてきたように、外国人には一定範囲で経済活動の自由は保障されます。

その保障されない範囲を考慮した法務大臣の処分は、裁量権の範囲内と言えるでしょう。

確認問題 〇か×

①外国人の政治活動の自由は,我が国の政治的意思決定に影響を及ぼす活動であっても,憲法上保障される。(司法試験 H25 【第1問】 ア)

答え  ①× 

 

政治活動の自由についてはこちらの判例もご覧ください

www.eityan-houritu.site

 

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