憲法判例【森林法共有林事件】と憲法29条の財産権
みなさん、こんにちは!
今日は、森林法共有林事件を解説します。
参考は最高裁判決になります。
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争点
森林法の森林分割制限規定は、29条に違反するか
判決
①財産権について
「財産権は、立法府が社会全体の利益を図るために加える制限により制約を受けることがある」
↓
財産権は公共の利益のために制限されるため、憲法29条2項から導き出されます。
②違憲審査の基準について
「規制目的が公共の福祉に合致しないことが明らかであるか、または規制手段がこの目的を達するための手段として必要若しくは合理性に欠けていることが明らかである場合に限り、憲法29条2項に違背するものとしてその効力を否定」できるとした
↓
公共の福祉に合致しないか、他の規制手段があると考えられる場合には効力を否定できるということです。
③森林法の立法目的
森林の細分化を防ぎ、森林経営の安定をはかり、ひいては森林の保続培養と生産力の増進をはかり、もって国民経済の発展に資するという立法目的
↓
森林分割に制限を加えて公共の利益の一助となるため、一見妥当な立法目的と思ってしまいそうですよね。
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しかし、
④立法目的が公共の福祉に合致しないことが明白でないとしつつ
「規制手段については、立法目的との関係において合理性と必要性のいずれも肯定することができないことが明らかであるとして、森林法184条の規定は憲法29条2項に違反し無効である」としました。
↓
立法は立法府が行うことですから、この基準に沿って判断されています。
今回の判例では財産権は、公共の福祉のために制限されるが、規制目的・手段が公共の福祉に合致しない、または、それが合理性・必要性を欠く場合に憲法違反で無効にできると覚えましょう。
練習問題 〇か×
①財産権規制の目的が公共の福祉に合致しないことが明らかであるか,規制手段が規制目的を達成する手段として必要性や合理性に欠けていることが明らかであって,立法府の判断が合理的裁量の範囲を超えるものとなる場合に限り,当該規制立法は違憲となる。(司法試験 H24 【第7問】 ウ)
答え 〇
財産権についてはこちらもご覧ください。
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