民法司法試験H29年短答式試験17問【債権者代位権】

みなさん、こんにちは!

今日は、【債権者代位権】の問題を解説します。

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〔第17問〕(配点:2)
債権者代位権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№17])
ア.債権者は,自己の債権の履行期が到来していなくても,保存行為については,債務者に代位して債務者の権利を行使することができる。
イ.AとBがCに対していずれも150万円の金銭債権を有している場合において,CがDに対し100万円の金銭債権を有しているときは,Aは,自己の債権を保全するため,50万円の限度でCのDに対する債権を代位行使することができる。
ウ.金銭債権の債権者Aが,債務者Bの第三債務者Cに対する甲動産の引渡請求権を代位行使する場合,Aは,Cに対し,Aの債権額にかかわらず,Aに甲動産を引き渡すことを求めることができる。
エ.債権者Aが債務者Bの第三債務者Cに対する債権を代位行使する場合において,CがBに対する債権を自働債権とする相殺の抗弁を提出したときは,Aは,BがCに対して主張することができる再抗弁事由のほか,Aの独自の事情に基づく再抗弁も提出することができる。
オ.土地の所有者Aからその土地を賃借したBは,その土地を不法に占有するCがいる場合,賃借権について対抗要件を具備しているか否かにかかわらず,賃借権を保全するために,AのCに対する所有権に基づく返還請求権を代位行使することができる。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ

問題『http://www.moj.go.jp/content/001224569.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001225946.pdf

アについて

債権者は債権の期限が到来しない間は裁判上の代位によらなければ債務者に属する権利を行使することができませんが、保存行為についてはこの限りではありません(民法423条2項)。

よって、解答は〇となります。

イについて

ウについて

動産の引き渡し請求権を代位行使する場合には、動産の性質上分割できないので債権額に関わらず動産の引き渡しを求めることができます。

また、Bに動産を引き渡してBからAに引き渡しを求める場合には、Bの受け取り拒否が考えられるため、CからAに直接の引き渡しを求めることが可能です。

よって、解答は〇となります。

エについて

最高裁昭和54年3月16日判決では、被告の第三債務者が提出した抗弁に対して、原告(債権者代位権を行使する者)が提出できる再抗弁自由は債務者自身が主張できるものに限定されるとしました。

そのため、債務者自身が主張できる以上のこと=原告独自の事情に基づく再抗弁は認められないとしました。

よって、解答は✖となります。

オについて


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