司法書士試験H28午前の部第10問【地上権】
みなさん、こんにちは!
今日は、司法書士H28午前の部第10問を解説していきます。
第10問 地上権者が土地の所有者に定期の地代を支払わなければならない地上権に関する次の1から5までの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものは,どれか。
1 地上権者は,設定行為で存続期間を定めなかったときは,いつでもその権利を放棄して,放棄後に期限の到来する地代の支払義務を免れることができる。
2 竹木の所有を目的とする地上権の地上権者は,その権利が消滅した時には,土地上に植林した竹木を収去する権利を有するが,土地を原状に復する義務は負わない。
3 地上権者は,地上権の目的となっている土地の所有者の承諾を得なければ,その土地を第三者に賃貸することができない。
4 地上権の設定行為で 50 年より長い存続期間を定めたときは,その地上権の存続期間は 50 年となる。
5 地上権者が引き続き2年以上地代の支払を怠ったときは,その土地の所有者は,地上権の消滅を請求することができる。
出典
問題『司法書士試験H28問題』
解答『司法書士試験H28解答」
1について
民法268条1項設定行為で地上権の存続期間を定めなかった場合において、別段の慣習がないときは、地上権者は、いつでもその権利を放棄することができる。ただし、地代を支払うべきときは、一年前に予告をし、又は期限の到来していない一年分の地代を支払わなければならない。
地上権の存続期間がなければいつでも放棄できますが、地代を支払う時は地代の支払い義務を免れることができるわけではありません。 そのため、解答は✖となります。
2について
民法269条地上権者は、その権利が消滅した時に、土地を原状に復してその工作物及び竹木を収去することができる。ただし、土地の所有者が時価相当額を提供してこれを買い取る旨を通知したときは、地上権者は、正当な理由がなければ、これを拒むことができない。
地上権者は原状回復義務を負っているので解答は✖となります。
3について
民法265条地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。 265条より地上権者はその他人の土地を使用する権利を有していますが、これについて承諾を得なくても第三者に賃貸できます。
そのため、解答は✖となります。
4について
民法278条1項永小作権の存続期間は、20年以上50年以下とする。設定行為で五十年より長い期間を定めたときであっても、その期間は、50年とする。
4は地上権ではなく永小作権についての説明なので解答は✖となります。
5について
民法266条1項第274条から第276条までの規定は、地上権者が土地の所有者に定期の地代を支払わなければならない場合について準用する。
民法276条永小作人が引き続き二年以上小作料の支払を怠ったときは、土地の所有者は、永小作権の消滅を請求することができる。
266条1項より276条の小作料の支払いを怠った場合についての規定が、地上権者が地代を支払う必要がある場合に準用されています。
そのため、地上権者が地代の支払いを2年以上怠っていれば、土地の所有者は地上権の消滅を請求できるので、解答は◯となります。