民法物権~地上権って身近に使える権利ですよ!
みなさん、こんにちは!
今日は、地上権を解説していきます。
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地上権の内容
地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。『民法265条』
解説
地上権というのは、他人の土地で工作物や竹木を所有するために「その土地を使用する権利」のことをいいます。
地上権の取得
地上権は、遺言や時効・相続など、地上権を設定する契約以外でも取得することができます。
対抗要件
地上権の対抗要件は177条に規定されるときになります。
物権的請求権
地上権でも、その土地の使用の利用を妨げる者がいたならば、妨害排除請求権などの物権的請求権を行使することができます。
地上権の処分
地上権は、地主の承諾なく譲渡したり賃貸することも可能です。
地代
第274条から第276条までの規定は、地上権者が土地の所有者に定期の地代を支払わなければならない場合について準用する。地代については、前項に規定するもののほか、その性質に反しない限り、賃貸借に関する規定を準用する。
『民法266条』
解説
地上権者の地代支払い義務は、基本的にはなく支払う場合には賃貸借などの規定を準用することになります。
これは、「地上権者が土地の所有者に定期の地代を支払わなければならない場合」とあることから、義務ではないことを読み取れます。
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相隣関係の規定の準用
前章第一節第二款(相隣関係)の規定は、地上権者間又は地上権者と土地の所有者との間について準用する。ただし、第229条の規定は、境界線上の工作物が地上権の設定後に設けられた場合に限り、地上権者について準用する。『民法267条』
解説
相隣関係の規定については、地上権者間または地上権者と土地の所有者との間で準用されます。これは、地上権者が外見的に所有者的な性格を持つことから導かれます。
地上権の存続期間
設定行為で地上権の存続期間を定めなかった場合において、別段の慣習がないときは、地上権者は、いつでもその権利を放棄することができる。ただし、地代を支払うべきときは、一年前に予告をし、又は期限の到来していない一年分の地代を支払わなければならない。地上権者が前項の規定によりその権利を放棄しないときは、裁判所は、当事者の請求により、二十年以上五十年以下の範囲内において、工作物又は竹木の種類及び状況その他地上権の設定当時の事情を考慮して、その存続期間を定める。
『民法268条』
解説
1項について
地上権に存続期間が定められず、地上権の慣習なども存在しない場合には、いつでも地上権の権利を放棄することができます。
しかし、地代の規定があれば一年前の予告又は期限の到来していない一年分の地代を支払わなければいけません。地代の規定があるため、それを受け取ることができると思っている地主を保護する規定となっています。
2項について
権利を放棄しなければ、20~50年の範囲内で種々の事情を考慮しながら地上権の存続期間を定めることとします。
※地上権は永久に定めることも可能です
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工作物等の収去等
地上権者は、その権利が消滅した時に、土地を現状に復してその工作物及び竹木を収去することができる。ただし、土地の所有者が時価相当額を提供してこれを買い取る旨を通知したときは、地上権者は、正当な理由がなければ、これを拒むことができない。前項の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。
『民法269条』
解説
地上権者は、地上権が消滅した場合にその土地にある物を収去することが可能であり、地上にある物の所有権は消滅しません。
しかし、所有者が土地の価値を落とさないために所有物を買い取る旨を示したときには、地上権者に正当な理由がない場合に限り、その買取を拒むことはできません。また、これと異なる慣習があればその慣習に従うこととします。
地下又は空間を目的とする地上権
地下又は空間は、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができる。この場合においては、設定行為で、地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加えることができる。前項の地上権は、第三者がその土地の使用又は収益をする権利を有する場合においても、その権利又はこれを目的とする権利を有するすべての者の承諾があるときは、設定することができる。この場合において、土地の使用又は収益をする権利を有する者は、その地上権の行使を妨げることができない。
『民法269条の2』
解説
地上権は、地上だけでなく地下または空間に上下の範囲を定めることで地上権を設定することも可能です。地価の地上権の例としては、地下鉄が一番イメージしやすいでしょう。
上記の地上権を設定する際、他に土地の使用または収益をする権利を有する者の承諾があれば、地上権を設定することが可能であり、他の者は地上権の行使を妨げることができません。そのため、地上権はかなり有利に立てる権利といえます。
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