司法試験民法短答式試験H27第27問【請負人の瑕疵担保責任】

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今日は、司法試験H27民法第27問を解説していきます。

司法試験民法短答式試験H27第26問

〔第27問〕(配点:2) 請負人の瑕疵担保責任に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№27]) ア.仕事の目的物の引渡しを要する場合において,その引渡しの時に目的物の瑕疵が明らかであったときは,請負人は瑕疵担保責任を負わない。 イ.仕事の目的物に瑕疵がある場合,注文者は,その瑕疵の修補に代えて,又はその修補とともに,損害賠償の請求をすることができる。 ウ.仕事の目的物の瑕疵が注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた場合,請負人は,その材料又は指図が不適当であることを知りながら注文者に告げなかったときを除き,瑕疵担保責任を負わない。 エ.仕事の目的物に瑕疵がある場合において,その瑕疵を修補することが不能であるときは,注文者は,請負契約を解除することができる。 オ.仕事の目的物の引渡しを要しない場合,請負人の瑕疵担保責任の存続期間は,その仕事が終了した時から起算する。 1.ア イ 2.ア エ 3.イ オ 4.ウ エ 5.ウ オ 出典 問題『司法試験H27民法短答式問題』 解答『司法試験H27民法短答式解答

アについて

民法634条1項 仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。

仕事の目的物に瑕疵があれば注文者は請負人に対して瑕疵の修補を請求することができ、瑕疵が隠れている必要はありません。

そのため、解答は✖となります。

イについて

民法634条2項 注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。この場合においては、第533条の規定を準用する。

瑕疵がある場合において、注文者は瑕疵の修補に変えて又はその修補とともに損害賠償を請求できるので、解答は◯となります。

ウについて

民法636条 前二条の規定は、仕事の目的物の瑕疵が注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じたときは、適用しない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。

請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかった場合には、民法634条・635条の瑕疵による修補請求・損賠償請求・契約解除が適用されます。

請負人がそれについて告げていれば瑕疵担保責任を負わないことになるので、解答は◯となります。

エについて

民法635条 仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。

注文者は仕事の目的物について瑕疵がある場合には、建物その他の土地の工作物を除いて契約を解除することができるので解答は✖となります。

オについて

民法637条 前三条の規定による瑕疵の修補又は損害賠償の請求及び契約の解除は、仕事の目的物を引き渡した時から一年以内にしなければならない。 仕事の目的物の引渡しを要しない場合には、前項の期間は、仕事が終了した時から起算する。

目的物の引き渡しを要しなければ担保責任の存続期間は、仕事が終了した時が起算点となります。そのため、解答は◯となります。

以上、ア=エ=✖・イ=ウ=オ=◯なので解答は2となります。