司法試験民法短答式試験H27第22問【債務の履行】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H27民法第22問を解説していきます。

 

 

〔第22問〕(配点:2) 契約締結後に債務の履行に障害が生じた場合に関する次の1から4までの各記述のうち,誤っているものはどれか。(解答欄は,[№22]) 1.特定物の売買契約において,売主の責めに帰すべき事由により目的物引渡債務が履行不能になった場合,その売買契約の効力は法律上当然に失われ,買主は,代金を支払う義務を免れる。 2.建物の賃貸借契約において,賃借人の責めに帰すべき事由により建物が滅失した場合,その賃貸借契約は法律上当然に終了し,賃借人は,それ以降賃料を支払う義務を負わない。 3.建物の建築を目的とする請負契約において,当事者双方の責めに帰することができない事由により建築途中の建物が滅失した場合であっても,請負人は,新たに建物を建築し,これを完成させなければ,注文者に対し,請負代金全額の支払を請求することはできない。 4.有償寄託契約において,受寄者の責めに帰することができない事由により寄託物の返還債務が履行不能になった場合,受寄者は,寄託者に対し,約定の存続期間のうち履行不能になった後の期間についての報酬の支払を求めることができない。 出典 問題『司法試験H27民法短答式問題』 解答『司法試験H27民法短答式解答

1について

民法543条 履行の全部又は一部が不能となったときは、債権者は、契約の解除をすることができる。ただし、その債務の不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

543条では債務不履行に陥ったときに契約を解除することができますが、債務者が履行不能になったとしてもそれは解除するまで有効なものとなります。

そのため、解答は✖となります。

2について

最高裁昭和32年12月3日判決では「賃貸借の目的物たる建物が朽廃しその効用を失つた場合は、目的物滅失の合と同様に賃貸借の趣旨は達成されなくなるから、これによつて賃貸借契約は当然に終了するものと解するのを相当とする」と述べられました。

滅失することで賃貸借の趣旨が達成されなくなり当然に賃貸借契約は終了することになるため、賃料の支払い義務もなくなると考えられます。

そのため、解答は◯となります。

3について

民法633条 報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、第624条第1項の規定を準用する。

報酬は目的物の引き渡しと同時に支払うことになっているので、目的物を滅失した請負人は新たにそれを完成させる必要があります。

そのため、解答は◯となります。

4について

民法665条 第646条から第650条まで(同条第3項を除く。)の規定は、寄託について準用する。 民法648条3項 委任が受任者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了したときは、受任者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
寄託が履行の途中で終了すれば受任者は既に使用した割合に応じて報酬を請求可能・その後の期間の使用していない報酬を請求できないことになります。
そのため、解答は◯となります。