司法試験民法短答式試験H27第26問【請負契約】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H27民法第26問を解説していきます。

〔第26問〕(配点:2) 請負契約に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№26]) ア.請負人が債務の本旨に従って仕事を完成した後であっても,注文者は,損害を賠償して契約の解除をすることができる。 イ.判例によれば,建物の建築を目的とする請負契約の請負人は,自ら材料を提供したか,注文者が材料を提供したかにかかわらず,完成した建物の所有権を取得する。 ウ.注文者が破産手続開始の決定を受けたときは,請負人は,契約の解除をすることができる。 エ.仕事の目的物の引渡しを要する場合には,注文者は,仕事の目的物の引渡しを受けるまで,請負人に対し,報酬の支払を拒むことができる。 オ.請負人は,注文者との間で瑕疵担保責任を負わない旨の特約をした場合であっても,瑕疵があることを知りながらこれを注文者に告げずに仕事の目的物を引き渡したときには,その瑕疵についての担保責任を免れることができない。 1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ 出典 問題『司法試験H27民法短答式問題』 解答『司法試験H27民法短答式解答

アについて

民法641条
請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。

仕事を完成しない間は損害を賠償して契約を解除できますが、完成後には損害を賠償して解除できない趣旨だと考えられます。

そのため、解答は✖となります。

イについて

完成物の引き渡しの際、注文者が全ての材料を提供していれば所有権は注文者にありますが、請負人が全部提供すればその所有権は請負人にあります。

そのため、解答は✖となります。

ウについて

民法642条1項 注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。この場合において、請負人は、既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用について、破産財団の配当に加入することができる。

642条より、注文者が破産手続き開始の決定を受けた場合には請負人は契約を解除できるので、解答は◯となります。

エについて

民法633条 報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、第624条第1項の規定を準用する。

請負人の仕事完成義務は先履行となりますが、仕事の目的物の引き渡しと報酬の支払いは同時履行の関係に立つので解答は◯となります。

オについて

民法640条 請負人は、第634条又は第635条の規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることができない。

請負人は瑕疵担保責任を負わない旨の特約をしたとしても、請負人が知りながら告げなかった事実について、その担保責任を逃れることはできません。

そのため、解答は◯となり、ア=イ=✖・ウ=エ=オ=◯なので解答は1となります。

 

司法試験民法短答式試験H27第27問