民法司法試験過去問解説2017年短答式試験22問 

みなさん、こんにちは!

今日は、【債権者代位権】の問題を解説します。

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〔第22問〕(配点:2)
AのBに対する1000万円の債務(以下「本件債務」という。)について,AB間でA所有の甲土地で代物弁済をする合意をした場合に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№22])
ア.Bが,甲土地の所有権を取得するには,代物弁済の合意に加えて,給付の完了として対抗要件を具備する必要がある。
イ.代物弁済の合意をしても,その所有権移転登記手続の完了前であれば,AはBに1000万円を支払って,本件債務を弁済により消滅させることができる。
ウ.AがCから売買契約により甲土地の所有権を取得した後に代物弁済の合意がされ,その合意に基づいてAからBへの所有権移転登記がされた後,CがAの強迫を理由としてその売買契約を取り消したときは,Aは,Bに対し,本件債務の消滅を主張することができない。
エ.代物弁済がされて一旦甲土地の所有権がBに移転した後,本件債務の発生原因となった契約が解除された場合でも,甲土地の所有権はBに帰属する。
オ.甲土地の所有権移転登記手続に必要な書類をBがAから受領した時点で本件債務の消滅の効果が生じるという特約がある場合,BがAからその書類を受領した時に,本件債務の消滅の効果が生じる。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ ウ 4.ウ オ 5.エ オ

問題『http://www.moj.go.jp/content/001224569.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001225946.pdf

アについて

最高裁昭和57年6月4日では不動産を目的とする代物弁済契約の意思表示があれば、その不動産の所有権移転の効果が発生するとされています。

よって、解答は✖となります。

イについて

所有権移転そのものの効果は契約時に生じることになりますが、不動産で代物弁済を行う際には所有権を移転を完了しなければ効果が生じません。

そのため、Aは完了前であれば弁済を消滅させることができるため、解答は〇となります。

ウについて

CがAに強迫された場合には、脅迫を理由とした取消を行うことで第三者の善意・悪意に関わらず、本問題であれば土地がCに戻ってきます。

 

エについて

 

オについて

判例では、移転登記に必要な書類の授受で代物弁済の効果が生じる(=債務の消滅の効果)という特約があれば、書類を受領した時点で債務の消滅の効果が発生するとされています。

よって、解答は〇となります。

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