司法試験民法短答式試験過去問解説H28第3問【意思表示】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H28民法第3問を解説していきます。

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〔第3問〕(配点:2)
意思表示に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№3])

ア.成年被後見人であるAがBから日用品を買い受けた場合,Aが成年被後見人であることをBが知らなかったとしても,Aの成年後見人Cは,当該日用品の売買契約を取り消すことができる。

イ.AがBから契約解除の意思表示を受けた時にAが成年被後見人であった場合,Aの成年後見人CがBの契約解除の意思表示を知るまで,当該契約解除の効力は生じない。

ウ.Aが隔地者Bに対し契約申込みの通知を発した後,Aが行為能力を喪失した場合,Bがその事実を知っていたとしても,当該契約申込みの効力は生じる。

エ.Aが隔地者Bに対し契約解除の通知を発した後,Aが行為能力を喪失した場合,Bがその事実を知っていたとしても,当該契約解除の効力は生じる。

オ.Aが隔地者Bに対し契約承諾の通知を発した後,Aが行為能力を喪失した場合,Bがその事実を知っていたとしても,当該契約は成立する。

1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/001182604.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001184007.pdf

アについて

成年被後見人の日用品などの日常生活に関する行為は、成年被後見人でも行為能力を有するとされています(民法9条但し書き)。そのため、解答は✖となります。

イについて

民法98条の2では「意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に未成年者又は成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。ただし、その法定代理人がその意思表示を知った後は、この限りでない」とされています。

法定代理人がその意思表示を知った後でなければ相手方に意思表示を主張できないので、解答は◯となります。

ウについて

民法97条2項では「隔地者に対する意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は行為能力を喪失したときであっても、そのためにその効力を妨げられない」とされています。

そのため、解答は✖となります。

エについて

97条2項より効力が消滅しないことが明らかなので解答は◯となります。

オについて

隔地者に対する意思表示は97条1項で示されている到達主義が原則になりますが、契約の場合には民法526条「隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する」という発信主義がとられることになります。

承諾の通知を発信した時点で契約の効力が発生しているので、行為能力の有無は問われないことになります。そのため、解答は✖となります。

以上、ア=ウ=オ=✖・イ=エ=◯なので解答は2となります。

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