司法試験民法短答式試験過去問解説H28第2問【錯誤】
みなさん、こんにちは!
今日は、司法試験H28民法第2問を解説していきます。
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〔第2問〕(配点:2)
錯誤に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№2])ア.法律行為の要素に錯誤が生じ,その錯誤により意思表示をした場合であっても,その意思表示の時から20年が経過すれば,表意者は,錯誤による意思表示の無効を主張することができない。
イ.相手方の詐欺により法律行為の要素に錯誤が生じ,その錯誤により意思表示をした場合であっても,表意者は,錯誤による意思表示の無効を主張することができる。
ウ.Aを売主,Bを買主とする売買契約に基づく商品の売買代金をCが立替払する旨の契約がBC間で締結され,BのCに対する立替金償還債務をDが連帯保証した場合において,Dが,CD間の連帯保証契約締結当時,実際にはAB間の売買契約が存在しないことを知らなかったときは,Dは,CD間の連帯保証契約について錯誤による無効を主張することができる。
エ.他にも連帯保証人となる者がいるとの債務者の説明を信じて連帯保証人となった者は,特にその旨が表示され連帯保証契約の内容とされていたとしても,連帯保証契約について錯誤による無効を主張することができない。
オ.Aの所有する甲土地の売買契約が,Bを売主,Cを買主として成立した場合において,Cは,BC間の売買契約締結当時,甲土地がBの所有するものでなければ売買をしない旨の意思表示をしたとしても,BC間の売買契約について錯誤による無効を主張することができない。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ
出典
アについて
錯誤無効に消滅時効は定められていないので、解答は✖となります。
イについて
民法96条で詐欺による意思表示は取り消すことができるとされていて、それによって起こった錯誤がある意思表示も取り消すことが可能となります。そのため、解答は◯となります。
ウについて
判例では「保証人は,保証契約を締結した際,そのことを知らなかったなど判示の事実関係の下においては,保証人の意思表示には法律行為の要素に錯誤がある」としているので、錯誤無効の主張が認められることになります。
そのため、解答は◯となります。
エについて
最高裁判決昭和32年12月19日では「保証人があるかどうか」は動機の錯誤で原則として錯誤無効を主張できないとしますが、「保証人がいある」ということが契約の内容になっていれば錯誤無効を主張できます。
そのため、解答は✖となります。
オについて
また、判例では「意思表示をなすについての動機は表意者が当該意思表示の内容としてこれを相手方に表示した場合でない限り法律行為の要素とはならないものと解するを相当とする」とされています。
契約当時にCは「甲土地がBの所有でなければ買わない」と意思表示をしており、これは法律行為の要素になると理解できます。錯誤による無効を主張できるため、解答は✖となります。
以上、ア=エ=オ=✖・イ=ウ=◯なので解答は3となります。
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