【医薬品ネット販売の権利確認等請求事件】施行規則と委任の範囲の関係

みなさん、こんにちは!

今日は、医薬品ネット販売の権利確認等請求事件を解説していきます。

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事件

本件は平成18年の改正後の薬事法の施行に伴って、平成21年に改正された薬事法施行規則において、店舗以外の場所にいる者に対する郵便その他の方法による医薬品の販売または授与(郵便等販売)は、一定の医薬品に限って行うことができる旨の規定及びそれ以外の医薬品の販売若しくは授与又は情報提供はいずれも店舗において、薬剤師等の専門家との対面により行わなければならない旨の規定が設けられました。

→それについて、医薬品のネット販売を行う業者が規則の規定は販売を後半に禁止するもので、薬事法の委任の範囲外で違法であったと主張しました。

争点

規則が委任の範囲を超えているか

判決

ネットを通じた郵便販売の需要が相当程度存在しており、その販売を制限することに対する反対意見は多くあり、医薬品の販売・授与の方法として郵便販売が対面より劣る知見はなかったと言える。

さらに、販売を店舗における対面に限定する理由は乏しいという見解も多かったと考えられる。

また、憲法22条1項は狭義の職業選択の自由・職業活動の自由の保障も包含しており、本件の新たな規制は郵便販売を柱としてきた者の職業活動の自由を相当程度制約するものであった。

「委任の範囲を逸脱したものではないというためには,立法過程における議論をもしんしゃくした上で,新薬事法36条の5及び36条の6を始めとする新薬事法中の諸規定を見て,そこから,郵便等販売を規制する内容の省令の制定を委任する授権の趣旨が,上記規制の範囲や程度等に応じて明確に読み取れることを要するものというべき

 

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このように述べたうえで、新施行規則や新薬事法に関して次のように述べています。

「一般用医薬品の過半を占める第一類医薬品及び第二類医薬品に係る郵便等販売を一律に禁止する内容のもの」

「新薬事法の他の規定中にも,店舗販売業者による一般用医薬品の販売又は授与やその際の情報提供の方法を原則として店舗における対面によるものに限るべきであるとか,郵便等販売を規制すべきであるとの趣旨を明確に示すものは存在しない

「そもそも国会が新薬事法を可決するに際して第一類医薬品及び第二類医薬品に係る郵便等販売を禁止すべきであるとの意思を有していたとはいい難い」

「新薬事法の授権の趣旨が,第一類医薬品及び第二類医薬品に係る郵便等販売を一律に禁止する旨の省令の制定までをも委任するものとして,上記規制の範囲や程度等に応じて明確であると解するのは困難であるというべきである」

まとめ

新施行規則のうち、一般用医薬品のうち第一類医薬品及び第二類医薬品について

  1. 当該店舗において対面で販売させ又は授与させなければならない
  2. 当該店舗内の情報提供を行う場所において情報の提供を対面により行わせなければならない
  3. 郵便等販売をしてはならない

こうした規定は、「郵便等販売を一律に禁止することになる限度において、新薬事法の趣旨に適合するものではなく、新薬事法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効」としました。

練習問題 

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合っていれば〇、間違っていれば✖で答えよ。

判例は,インターネット販売が認められる医薬品を一定の医薬品に限定した薬事法施行規則について,法律の委任の範囲を逸脱した違法なものであるとした。(司法試験H27 第14問 エ)

解答〇

 

委任立法についてはこちらもご覧ください

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