憲法判例【参議院議員定数不均衡事件】公職選挙法の関係
みなさん、こんにちは!
今日は、参議院議員定数不均衡事件を解説します。
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争点
平成4年7月26日の参議院議員選挙当時において、選挙区間における議員一人当たりの選挙人数の較差は最大1対6.59に達していました。
これについて、選挙人が、定数配分規定が憲法14条・15条1項・44条等に違反するとして、選挙の無効を訴えました。
判決
投票価値について
憲法は投票価値の平等を選挙制度の仕組みを決定する際の唯一・絶対の基準としていない。
国会は、その裁量で適正かつ効果的な代表を選出するという目標の実現のために、適切な選挙制度の仕組みを決定できる。
そのため、投票価値の平等は国会が正当に考慮する他の政策目的・理由との関連で、調和的に実現されるものとしました。
よって、国会の定めたものが裁量権の行使として具体的に是認しうるものなら、投票価値の平等が損なわれてもやむをえないとしました。
議員定数について
議員定数は厳格な人口比例主義を唯一絶対の基準とすべきことは要求されない。
また、投票価値の平等は憲法14条1項に由来し、選挙制度の仕組みを決めるのに重要な要素となるのは否定できない。
その国会の立法裁量には限界があり、選挙当時の較差が示す選挙区間の投票価値の不平等は、極めて大きいものと言える。
この投票価値の不平等は、参議院議員選挙制度の仕組み・是正の技術的限界・選挙人の投票価値に差異がないことを考慮しても、投票価値の平等の有すべき重要性に照らして、もはや到底看過することができない程度まで認められる程度に達していた。
まとめ
しかし本件では、「選挙区間における議員一人当たりの選挙人数の較差が到底看過することができないと認められる程度に達した時から本件選挙までの間に国会が本件定数配分規定を是正する措置を講じなかったことをもって、その立法裁量権の限界を超えるものと断定することは困難」としました。
判決を見てきたように、確かに投票価値の不平等が相当期間続いていました。
しかし、それに対して措置を講じないことについて、国会の裁量権を逸脱していないかどうかという点からは、直ちに違憲とは言えないとし「違憲状態」であるとしました。
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