憲法判例【群馬県司法書士会事件】思想良心の自由の関係

みなさん、こんにちは!

今日は、群馬県司法書士会事件を解説します。

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争点

司法書士会が、震災で被災した司法書士会に復興支援拠出金を寄付することにした。

しかし、上告人(司法書士会の会員)らは、司法書士会が拠出金を寄付するのは目的外の行為であり、司法書士会が強制加入団体であるために、会員にその寄付金の負担を強制できないとして訴えました。

意思に反する拠出金の負担を求めることが、思想良心の自由を侵害していないかが争点。

判決

司法書士会の役割

司法書士の業務を円滑に行うことを目的とするが、一方で、他の司法書士会との連携をとることも重要とされます。

震災が大規模な災害をもたらしており、早急に支援を行うことは必要であったため、「金額の大きさをもってて直ちに本件拠出金の寄付が被上告人の目的の範囲を逸脱するものと」は言えないとしました。

そのため、被災した司法書士会に拠出金を寄付することは、当該司法書士会の権利能力に違反しないとしました。 

寄付金について

調達方法は特段の事情がなければ多数決で決めるべきであり、これをみてみると、司法書士会が強制加入団体であることを考慮しても、負担金を徴収することは、「会員の政治的又は宗教的立場や思想信条の自由を害」さないとしています。

また、負担金の額についても、「会員に社会通念上過大な負担を課するものではな」く、「公序良俗に反するなど会員の協力義務を否定すべき特段の事情があると」は言えないとしました。

そのため、当該司法書士会の決議は上告人にも及ぶとしました。

まとめると、司法書士会が拠出金を寄付するのは権利能力の範囲内で、会員の思想良心などを侵害するものではないという判例でした。

 

司法試験でも出題されています。

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