憲法判例【謝罪広告事件】憲法19条の関係
みなさん、こんにちは!
今日は、謝罪広告事件を解説します。
参考は『裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面』
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争点
衆議院選挙において、Bの対立候補Aは、Bが選挙中にAを批判した内容は虚偽のものであり、名誉・信用を毀損されたとしてYに対して謝罪を求めて提訴。
一審は、その事実が虚偽であることを認めたうえで、「貴下の名誉を傷つけご迷惑をおかけいたしました。ここに陳謝の意を表します」という内容の謝罪広告だった。
しかし、その後もBがその事実を真実と信じていたため、自分の意図していないことを掲載・放送されるのは、両親の侵害に当たるとして上告していた。
そのため、謝罪広告が良心の侵害に当たるかが争点。
判決
言論の自由について
憲法21条は言論の自由を無制限に保障しているものではなく、無根の事実を公表し名誉を毀損することは、言論の自由の濫用です。
また、もともと公職の地位にあったものを批判するためにしたものであっても、これによって憲法が保障している言論の自由に属するということはできない。
そのため、上告人の行為について、「名誉棄損による不法行為が成立する」としたのは、憲法19条に違反するものではないとしました。
保障されていないことなので、違反もしないということですね。
謝罪広告について
民法723条で「他人の名誉を毀損した者に対して被害者の名誉を回復するに適当な処分」として、謝罪広告の掲載を加害者に命じるのは学説・判例が容認しており、一般にも行われている。
ただ、掲載の際は謝罪者の意思にゆだねるとしており、強制執行はその者の意思決定を侵害することになりかねないとしています。
一方、「単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明するに止まる程度のもの」であれば許されるとし、上記の謝罪広告の文言は、上告人がその事実が虚偽であったことを報道機関を通じて発表することを求めており、公表することで良心の自由を侵害するものでもない。
まとめると、上告人の批判は言論の自由に属するものではなく、謝罪広告は良心の自由を侵害しないということでした。
司法試験でも出題されています。
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