憲法判例【エホバの証人輸血拒否事件】人格権の関係性
みなさん、こんにちは!
今日は、エホバの証人輸血拒否事件を解説します。
全文はこちらになります。
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争点
エホバの証人という信教に属する患者さんが輸血を拒否したのに対して、医師が何の説明もせずに輸血した。
これに対して、患者は精神的苦痛を被ったとして、損害賠償を請求しそれが認められた判例になります。
判決
医師の取り得る手段
エホバの証人であることから輸血を拒否するという事実を尊重して、輸血はできるだけしないようにするが、他の救命手段がなくなれば輸血をするという方針を採用していた。
医師の対応と信教の関係
医師は、患者の生命・健康を管理するために、相当の手術を行う判断は必要です。
しかし、患者が輸血を受けること自体が信教の自由に反するから、輸血を拒否するという「明確な意思」を持っていれば、それは人格権の一内容として理解されねばならない。
そのうえ、当該医師が輸血を伴わない手術で有名で、患者がそれを信じて入院したことを周りの医師が知っていたという状態だった。
そのため、「救命手段が他にない場合には輸血をする」と伝えたうえで、患者自身の自己決定に任せるべきだったとする。
しかし、医師らはそれをせずに輸血を行っており、意思決定の権利を奪い人格権を侵害したものということができ、当該患者が「これによって被った精神的苦痛を慰謝すべき責任を負うものというべき」としました。
そのため、医師らは不法行為責任を逃れることができない、と判決を下しました。
医師らが患者の生命・健康を助けるのは当然ですが、その場合でも人格権が尊重される判例でした。
関連する判例はこちらをご覧ください。
司法試験でも出題されています。
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