司法試験憲法過去問解説H29~第二問【夫婦別姓訴訟】

みなさん、こんにちは!

今日は、夫婦別姓訴訟①・夫婦別姓訴訟②・夫婦別姓訴訟③に関する司法試験の問題を解説していきます。

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ア.前記判決は,氏名について,その個人からみれば,人が個人として尊重される基礎であり,その個人の人格の象徴であって,人格権の一内容を構成するが,具体的な法制度を離れて,氏が変更されること自体を捉えて直ちに人格権を侵害し,違憲であるか否かを論ずるのは相当ではないとした。[№2]

イ.前記判決は,氏には,名とは切り離された存在として社会の構成要素である家族の呼称としての意義があるとの点を強調して,婚姻を含めた身分関係の変動に伴って自らの意思に関わりなく氏が改められるとしてもやむを得ないという結論を導いている。[№3]

ウ.前記判決は,現行の法制度の下における氏の性質等に鑑み,婚姻の際に「氏の変更を強制されない自由」が憲法上の権利として保障される人格権の一内容であるといえるとしつつも,結論として,民法第750条の規定が憲法第13条に違反するとまではいえないとした。[№4]

司法試験 H29 【第2問】』 『司法試験 H29 解答』 

アについて 

氏を含めた氏名というのは、個人として認知されたりそれがあるから尊重されるものですから、まさに人格権の内容といえます。

ただ、氏に対する人格権は、法律によって保障されているものではないため、憲法の趣旨を基に法律が制定されるまでは、氏の変更が人格権を侵害することを論ずることができないとしました。

もちろん制定されれば、氏の変更が人格権を侵害することを理由に違憲が否かを判断できますが、今の段階ではそれができないということです。

イについて

例えば、氏が佐藤さんであれば「佐藤」と呼ばれることで「その家族の一員」として認知されることは、みなさんもお分かりでしょう。婚姻の際には、夫婦となる者の協議によって氏が変更されることも周知の事実と言えます。

ただ、「協議」によって氏を改めることができるだけで、社会的慣習などによって自己の意思にかかわりなく氏が変更されることには留意が求められ、法制定の際には考慮すべき事実としています。

ウについて

氏を変更されない自由について、最高裁は現行の法制度によって人格権の一内容として保障されるものではないとしています。

また、氏を変更することによる家族・子供の利益や夫婦同氏制での氏の通称使用で、婚姻前の氏を称ることなどを考慮していくと、氏を変更することは憲法13条に違反するものではないとしました。

夫婦別姓訴訟では、全体を通して氏の変更の規定は憲法13条・14条・24条に違反するものではないとしています。

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