憲法判例【石井記者事件】取材源の黙秘が憲法21条で認められるか

みなさん、こんにちは!

今日は、石井記者事件を解説していきます。

参考は最高裁判決になります。

スポンサードリンク

 

争点

記者に証言を拒絶する権利(証言拒絶権)が、憲法21条により認められる権利かどうかが争点となります。

当該記者が深夜に起こった事件を翌朝の新聞に掲載したことで、警察署内の機密事項が漏れたと判断されました。

これに対して、当該記者に取材源を明らかにするよう求めたが、それを拒否したことで刑事訴訟法に違反するとされた判例。

判決

証言について

その証言をすることで、他者に恨まれたり自己に不利益がある場合もあるとしながら「一般国民の証言義務は国民が司法裁判の適正な行使に協力すべき重大な義務である」としています。

証言を拒否することについて

「新聞記者に取材源につき証言拒絶権を認めるか否かは立法政策上考慮の余地のある問題」であるとし、現行刑訴法では医師等と違って新聞記者に証言拒絶権はなく、刑訴法149条の規定も類推適用されない

憲法21条によって保障されるかについて

「憲法の右規定の保障は、公の福祉に反しない限り、いいたいことはいわせなければならないということ」

「未だいいたいことの内容も定まらず、これからその内容を作り出すための取材に関しその取材源について、公の福祉のため最も重大な司法権の公正な発動につき必要欠くべからざる証言の義務をも犠牲にして、証言拒絶の権利までも保障したものとは到底解することができない

こうして、憲法21条は個々の国民に具体的権利を与えたものではないため、新聞記者の証言拒絶権は認められない。

新聞記者という特別な地位などに応じて特別な権利を与えるかどうかは、立法に関わる問題だとしました。

そのため、証言拒絶権は憲法21条から認められず立法がない限り認められない権利ということです。

現在では、新聞記者に証言拒絶権は認められないということを覚えておきましょう。 

 

民事事件の判例はこちらになります。

www.eityan-houritu.site

スポンサードリンク