司法試験H19公法系科目第2問【障害者年金の受給資格】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H19公法系科目第2問を解説していきます。

 

〔第2問〕(配点:2) 障害福祉年金の受給資格について国籍要件を課すことは,憲法第14条第1項,第25条に違反しないとした最高裁判所の判決(最高裁判所平成元年3月2日第一小法廷判決,判例時報1363号68頁)に関する次のアからエまでの各記述について,正しいもの二つの組合せを,後記1から6までの中から選びなさい。(解答欄は, [№5])

ア. この判決は,在留外国人に対する社会保障に関し,定住外国人か否かを区別しつつ,限られた財源の下では,福祉的給付を行うに当たり自国民を定住外国人より優先的に扱うことも許されるとした。

イ. この判決は,障害福祉年金の給付に関し,廃疾の認定日に日本国民でない者に受給資格を認めないことは憲法第14条第1項に反しないとしたが,これは,同項の規定の趣旨は外国人に対しても及ぶとする考え方と矛盾しない。

ウ. この判決は,障害福祉年金の受給資格について国籍要件を課すことは憲法に違反しないと判示する一方,在留外国人に対する社会保障上の施策として,将来的には法律を改正して国籍要件を撤廃するのが望ましいとの判断を示した。

エ. この判決は,社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかは,立法府の広い裁量に委ねられており,国は特別の条約の存しない限り,その政治的判断によりこれを決定できるという考え方を前提としている。

1. アとイ 2. アとウ 3. アとエ 4. イとウ 5. イとエ 6. ウとエ

出典

問題『司法試験H19公法系科目問題

解答『司法試験H19公法系科目解答

アについて

定住外国人かを区別しておらず、在留外国人として考えているため解答は✖となります。

イについて

憲法14条1項
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

本件については受給資格に区別を設けたことは裁量の範囲内であり合理的であるとされましたが、14条1項の趣旨が外国人に及ばないというわけではありません。

ウについて

判決ではこうしたことが述べられていないので、解答は✖となります。

エについて

最高裁は「特別の条約の存しない限り、当該外国人の属する国との外交関係、変動する国際情勢、国内の政治・経済・社会的諸事情等に照らしながら決定できる」として、広い裁量を有していることを明らかにしている。 そのため、解答は◯となります。