憲法判例【無罪の確定裁判】最高裁平成3年3月29日判決

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今日は、最高裁平成3年3月29日判決を解説していきます。

最高裁判決全文はこちらになります。

争点

非行事実が認められないことを理由にするものは「無罪の裁判」に該当し、それを理由とする不処分決定も「無罪の判決」該当するかどうか。

判決

抗告の趣意について

「申立人は保護処分に付さない旨の決定(不処分決定)を受けた者であるが、決定理由は非行事実が認められないというにあるから、右決定は、「無罪の裁判」及び「無罪の判決」に含まれると解すべきであり、そのように解しなければ、憲法四〇条及び一四条に違反する」

無罪の裁判について

「刑訴法上の手続における無罪の確定裁判をいうところ、不処分決定は、刑訴法上の手続とは性質を異にする少年審判の手続における決定である上、右決定を経た事件について、刑事訴追をし、又は家庭裁判所の審判に付することを妨げる効力を有しないから」

非行事実が認められないことを理由とするものであっても、刑事補償法一条一項にいう『無罪の裁判』には当たらないと解すべきであり、このように解しても憲法四〇条及び一四条に違反しない

「また、不処分決定は、非行事実が認められないことを理由とするものであっても、刑訴法一八八条の二第一項にいう『無罪の判決』に当たらないと解すべきであり、このように解しても憲法四〇条及び一四条に違反しない」

⇒非行事実が認められないことを理由とするものでも「無罪の裁判」に該当せず、不処分決定がそれを理由とするものでも「無罪の判決」に該当せず、憲法40条の適用もない。