憲法判例【長沼ナイキ基地訴訟】取消訴訟の原告適格

みなさん、こんにちは! 今日は、長沼ナイキ基地訴訟を解説します。

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争点・事件

北海道夕張郡長沼町航空自衛隊の「ナイキ地対空ミサイル基地」を建設するために、農林大臣が森林法に基づいて国有保有林の指定を解除しました。

これに対して反対する住民は、その基地に公共性はなく「自衛隊は違憲で、保有林解除は違法」として、処分の取り消しを求めて行政訴訟を起こしました。

一審では、原告に取消を求める利益があり、また平和的生存権を害する恐れがあるうえ、自衛隊は戦力に該当するとして「自衛隊は違憲」と判示しました。

逆に、2審判決では原告に訴えの利益はなく、砂川事件同様に統治行為論を採用することで一審判決を覆し、原告である住民側の請求を棄却しました。

判決

最高裁は、原告適格の基礎である保安林があることで洪水等を防ぐ利益が、ダムなどの代替施設の設置でその恐れはなくなり、解除の取り消しを求める訴えの利益は失われたとして住民側の上告を棄却しました。

最高裁は訴えの利益のみ判示して、第二審が判示していた「統治行為論」などの自衛隊尾合憲性を判断しませんでした。