司法書士試験H28午前の部第23問【遺留分】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法書士H28午前の部第23問を解説していきます。

司法書士試験H28午前の部第22問

 

 

第23問 遺留分に関する次のアからオまでの記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうち,どれか。 ア 建物の贈与について受贈者が遺留分減殺請求を受けた場合には,その受贈者は,その建物のほか,その建物について相続が開始した日以後に取得した法定果実を返還しなければならない。 イ 受贈者及び受遺者は,減殺を受けるべき限度において,贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れることができる。 ウ 被相続人の配偶者が相続の放棄をした場合には,当該配偶者は,遺留分減殺請求をすることができない。 エ 遺留分権利者は,相続の開始前に,遺留分の放棄をすることはできない。 オ 遺留分権利者の一人が遺留分の放棄をした場合でも,他の遺留分権利者の遺留分に変動はない。 1 アイ 2アエ 3 イウ 4 ウオ 5 エオ 出典 問題『司法書士試験H28問題』 解答『司法書士試験H28解答

アについて

民法1036条 受贈者は、その返還すべき財産のほか、減殺の請求があった日以後の果実を返還しなければならない。

「相続が開始した日」ではなく「滅殺の請求があった日」からの法定果実を返還する必要があるので、解答は✖となります。

 

 

イについて

民法1041条1項 受贈者及び受遺者は、減殺を受けるべき限度において、贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れることができる。

イは1041条1項より明らかであるので解答は◯となります。

ウについて

民法939条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
1028条 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。 一 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の三分の一 二 前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の二分の一

相続放棄した時点で初めから相続人にならなかったものとみなされるので、その配偶者は遺留分減殺請求も行えないことになります。

そうすると、解答は◯となります。

エについて

民法1043条1項 相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。

相続開始前でも遺留分放棄は可能なので解答は✖となります。

オについて

民法1043条2項 共同相続人の一人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。

1043条2項より、遺留分の放棄は他の遺留分権利者の遺留分に影響はないことが明らかなので、解答は◯となります。