憲法判例【NHK訂正放送等請求事件】平成16年11月25日
みなさん、こんにちは!
今日は、NHK訂正放送等請求事件を解説していきます。
判決全文はこちらになります。
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事件
NHKが放送した番組の内容が事実に反しており、名誉・プライバシーが侵害されたとして、Aは民法709条、710条に基づく慰謝料の支払い、723条に基づく謝罪放送と訂正放送を求めました。
争点
訂正放送や取り消しを求める私法上の権利が認められるかどうか。
判決
法4条1項について①
「放送法4条1項は、真実でない事項の放送について被害者から請求があった場合に、放送事業者に対して訂正放送等を義務付けるものである」
ただし「この請求の義務や性質については、法の全体的な枠組みと趣旨を踏まえて解釈する必要がある」とします。
法3条について
「表現の自由及び放送の自律性の保障の理念を具体化し、『放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない』として、放送番組編集の自由を規定してい」ます。
→「別に法律で定める権限に基づく場合でなければ、他からの放送番組編集への関与は許されない」ということ。
法4条1項について②
「放送の自律性の保障の理念を踏まえたうえで、真実性の保障の理念を具体化するための規定であると解される」
以上を踏まえて法4条1項を改めてみていきます。
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法4条1項について③
- 「放送をした時効が真実でないことが放送事業者に判明した時に訂正放送等を行うことを義務付けているだけであって、訂正放送等に関する裁判所の関与を規定していない」
- 「同項所定の義務違反について罰則が定められていること」
これらを合わせて考えると
「同項は真実でない放送がされた場合において、放送事業者に対し、自律的に訂正放送等を行うことを国民全体に対する公法上の義務として定めたもの」となります。
→「被害者に対して訂正放送等を求める私法上の請求権を付与する趣旨の規定ではないと解するのが相当である」
そして「法4条1項は被害者からの訂正放送等の請求について規定しているが、同条2項の規定内容を併せ考えると」
→「これは、同請求を、放送事業者が当該放送の真実性に関する調査及び訂正放送等を行うための端緒と位置付けているものと解するのが相当であって、私法上の請求権の根拠と解することはできない」としました。
まとめ
「被害者は、放送事業者に対し、法4条1項の規定に基づく訂正放送等を求める私法上の権利を有しない」とされました。
司法試験でも出題されています。
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