司法試験過去問解説平成29年民法短答式試験第25問

みなさん、こんにちは!

今日は【贈与】を解説していきます。

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〔第25問〕(配点:2)
贈与に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№25])
ア.書面によらないで動産の贈与がされ,その引渡しがされた場合において,その引渡しが占有改定により行われたときは,贈与者は,贈与を撤回することができる。
イ.贈与者が他人の不動産を贈与した場合において,他人の物であることを知りながら受贈者に告げなかったときは,贈与者は,その不動産の所有権を取得して受贈者に移転する義務を負う。
ウ.定期の給付を目的とする贈与は,受贈者の死亡によって,その効力を失うが,贈与者が死亡しても,その効力は失われない。
エ.贈与については,負担付きのものであっても,双務契約に関する規定は準用されない。
オ.書面によって死因贈与がされたとしても,贈与者は,生前,いつでもその贈与を撤回することができる。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ オ

問題『http://www.moj.go.jp/content/001224569.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001225946.pdf

アについて

書面によらない贈与は当事者が撤回することができますが、履行の終わった部分については撤回することができません(民法第550条)。

書面によらない贈与について、動産は引き渡しが原則とされており、この引き渡しには判例では「占有改定」「簡易の引き渡し」が含まれるものとしています。

よって、解答は✖となります。

イについて

ウについて

定期給付を目的とする贈与は、贈与者又は受贈者の死亡によって効力を失うとされています(民法552条)。

よって、解答は✖となります。

エについて

負担付贈与は性質に反しない限り双務契約に関する規定を準用するとしています(民法553条)。

通常の贈与であれば片務契約であり無償契約ですが、負担付贈与の場合は受贈者も負担することになるので双務契約についての規定が負担付贈与の場合にも準用されることとなります。

よって、解答は✖となります。

オについて

贈与者の死亡によって効力を生じる贈与(死因贈与)は、性質に反しない限り遺贈に関する規定を準用する(民法554条)とされています。

死因贈与の撤回に関しては、遺言の撤回に関する1022条の規定の「方式」に関する部分を除いて準用されることとなります(最高裁判決昭和47年5月25日)。

そのため、解答は〇となります。

 

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