司法試験過去問解説平成29年民法短答式試験第24問

みなさん、こんにちは!

今日は【売買契約の解除】を解説していきます。

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〔第24問〕(配点:2)
売買契約の解除に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№24])
ア.債務不履行を理由に売買契約が解除された場合において,その債務不履行の時から10年を経過したときは,解除による原状回復請求権の消滅時効が完成する。
イ.売主が目的物を引き渡し,買主が代金の一部を支払った場合において,債務不履行を理由に売買契約が解除されたときは,売主の目的物返還請求権と買主の代金返還請求権とは,同時履行の関係にない。
ウ.売主が目的物を引き渡したが,買主が代金を履行期の経過後も支払わない場合において,売主が買主に対して相当の期間を定めて債務の履行の催告をしたとしても,売主がその催告に際して履行がなければ解除する旨の通知をしていないときは,売主は,相当期間の経過後も当該売買契約を解除することができない。
エ.売主が目的物を引き渡したが,買主が代金を履行期の経過後も支払わない場合において,売主が買主に対して相当の期間を定めて代金の支払を催告したにもかかわらず,買主が代金の支払を拒絶する意思を明確に表示したときは,売主は,相当の期間が経過する前であっても,当該売買契約を解除することができる。
オ.買主の債務不履行を理由に売主が解除権を取得したとしても,その解除権の行使前に買主がその債務を履行したときは,売主は,その解除権を行使することができない。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ

問題『http://www.moj.go.jp/content/001224569.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001225946.pdf

アについて

判例では、債務不履行の契約解除による原状回復請求権は、契約の解除で新たに発生するもので、本来の債務とは別個のもので、解除の時から消滅時効が進行するとしています。

そのため、解答は✖となります。

イについて

売買契約の解除による代金返還義務と目的物返還義務とは同時履行の関係に立ちます。そのため、解答は✖となります。

ウについて

相当期間を定めない催告だとしても、決して無効になるわけではなく相当期間経過後に解除することができます。

そのため、解答は✖となります。

エについて

判例では、債務者が催告に対して拒絶する意思を明確にした場合には、債務者が期限の利益を失って債権者は解除権を取得することができるとされています。

よって、解答は〇となります。

オについて

判例では、履行の催告で解除権を取得したとしても、解除権の行使前に債務の履行があった場合には解除権を行使することができないとされます。

よって、解答は〇となります。

 

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