司法試験過去問解説平成29年民法短答式試験第23問

みなさん、こんにちは!

今日は、【隔地者間の契約】の問題を解説します。

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 〔第23問〕(配点:2)

隔地者間の契約に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№23])

ア.承諾者が申込みに条件を付して承諾し,その他変更を加えてこれを承諾したときは,その申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなされる。

イ.申込者の意思表示又は取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合には,契約は,承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立する。

ウ.承諾期間の定めのある申込みに対し,その承諾の通知がその期間内に発送された場合には,その承諾の通知が申込者に到達しなかったときであっても,契約は成立し,その効力が生ずる。

エ.申込者は,遅延した承諾を新たな申込みとみなすことができる。

オ.承諾期間の定めのない申込みに対し承諾の通知が発送された後,申込みの撤回の通知が承諾者に到達した場合において,その申込みの撤回の通知が通常の場合には承諾の通知の発送の前に到達すべき時に発送したものであることを承諾者が知ることができたときは,承諾者が申込みの撤回の通知が延着した旨の通知を申込者に対して発送したか否かにかかわらず,契約は成立しなかったものとみなされる。

1.ア イ 2.ア ウ

3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ

問題『http://www.moj.go.jp/content/001224569.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001225946.pdf

アについて

民法528条

承諾者が、申込みに条件を付し、その他変更を加えてこれを承諾したときは、その申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなす。

契約交渉などはその性質上、申し込みに対して修正などを加える場合が出てきます。承諾の内容=申し込みの内容となれなければいけませんから、変更して承諾すれば新しい申し込みとみなされます。

よってアは〇。

 

イについて

民法526条2項

申込者の意思表示又は取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合には、契約は、承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立する。

 イは526条より明らかなので〇となります。

 

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ウについて

民法521条2項

申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。 

民法526条1項

  1. 隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。

意思表示の際は到達主義が原則となっていますが、契約の場合は例外的に発信主義となっています。上記二つの規定は矛盾しているように思えます。

ただ、これは「承諾が到着すれば(到達主義)、その承諾の意思表示が発信された時に契約は成立する(発信主義」ということです。到達しなければ相手が意思表示したのかすらも分かりませんから当然と言えるかもしれません。

ウの場合は到達していないので契約は成立していないことになります。よって✖。

 

エについて

民法523条

申込者は、遅延した承諾を新たな申込みとみなすことができる。

承諾期間の定めがあり、 その申し込みが期間後になされた場合には遅延してしまった承諾を申込者は新たな申し込みとみなすことができます。この場合の「新たな申し込み」とは「承諾期間のない申し込み」のことを意味しています。

よってエは〇。

 

オについて

民法524条
承諾の期間を定めないで隔地者に対してした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。

承諾期間の定めのない申し込みの場合には、相当な期間を経過するまでは取り消すことができません。もちろん、申し込みが相手方に到達する前には、申し込みを取り消すことが可能です。

そのため上記の場合には契約は成立しており、相当期間が経過するまで契約は取り消すことができませんので、オは✖となります。

よって、ア=イ=エ=〇・ウ=オ=✖であるため解答は4となります。

 

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