憲法判例【立川反戦ビラ配布事件(葛飾政党ビラ配布事件もほぼ同じ判決)】憲法21条表現の自由

みなさん、こんにちは!

今日は、立川反戦ビラ配布事件を解説します。

参考は最高裁判決になります。

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争点

ビラ配布のために敷地内に侵入した行為について住居侵入罪で処罰されたことが表現の自由に違反するか。

判決

侵入について

「「侵入し」とは他人の看守する邸宅等に管理者の意思に反して立ち入ること」であり、本件では管理者から被害届が何度も提出されており、「法益侵害の程度が極めて軽微なものであったとはいえない」としました。

 表現の自由について

被告人らによる政治的意見を記載したビラの配布は、表現の自由の行使ということができる」としました。

ただ、

「憲法21条1項も表現の自由を無制限に保障したものではなく、公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を是認するものであってたとえ思想を外部に発表するための手段であっても、その手段が他人の権利を不当に害するようなものは許されないべきである」

表現の自由も公共の福祉による制限を受けており、思想の発表のために、他人の権利を侵害する行為は許されないということですね。

以上を考慮すると

「表現の自由の行使のためとはいっても、このような場所に管理権者の意思に反して立ち入ることは、管理権者の管理権を侵害するのみならず、そこで私的生活を営む者の私生活の平穏を侵害するものといわざるを得ない

思想の発表により他人の権利を害すのは許されず、それを処罰するのは憲法21条に違反しないことが明らかです。

また、葛飾政党ビラ配布事件もほぼ同じ判決で侵入された建物の管理人がビラの配布を禁じており刑法130条の住居侵入罪に問うことは、憲法21条1項に違反しないとされました

確認問題 〇か×

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①前期判決(立川反戦ビラ配布事件)は、被告人らによる政治的意見を記載したビラの配布は、表現の自由の行使ということができ、その行為を刑法130条前段の罪により処罰することは、表現そのものを処罰することの憲法適合性が問題となるとした。(司法試験 H29 【第6問】 ア)

②前期判決の後の判決(葛飾政党ビラ配布事件、最高裁判所平成21年11月30日第二小法廷判決)では、政党のビラを配布するために民間の分譲マンションの各住戸の廊下等強要部分に立ち入った行為につき、表現の自由の重要性に鑑み、当該マンションの管理者が商業的な宣伝・広告のビラのみならず政党のビラを配布することまで禁止するのは合理性欠くとして、かかる行為を刑法第130条の罪に問うことは憲法21条1項に反する旨示された。(司法試験 H29 【第6問】 エ)

解答 ①× ②×

 

ビラ配布についてはこちらもご覧ください。

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