憲法判例【小売商業調整特別措置法違反事件】積極目的規制の判例
みなさん、こんにちは!
今日は、小売商業調整特別措置法違反事件を解説していきます。
薬局距離制限訴訟の消極目的規制と反対に積極目的規制にあたる判例なので両者の違いを意識しながらいきましょう。
参考は最高裁判決になります。
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争点
法律で小売市場を開店する際に既存の市場から一定の距離を置くことを定めていました。
その法律が憲法22条で保障される営業の自由に違反しているかどうかが争われました。
判決
営業の自由は憲法22条1項で保証されるとしたうえで、
「国民経済の健全な発達と国民生活の安定を期し、もつて社会経済全体の均衡のとれた調和的発展を図るために立法により、個人の経済的活動に対し、一定の規制措置を講ずることもそれが右目的達成のために必要かつ合理的な範囲にとどまる限り許容される」
↓
国民生活を発展させ安定させるためであれば必要で合理的な範囲で自由を制限する立法が許されているということ
社会経済での法的規制措置について
「立法府の政策技術的な裁量にゆだねられ、裁判所は立法府がその裁量を逸脱し当該法的規制措置が著しく不合理であることの明白である場合に限って、これを違憲としてその効力を否定することができる」
↓
そういう立法などの政策的なものは立法府に任せているのだからその措置が明白に合理性を欠いているときだけ違憲だと判断できるということ
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これを踏まえたうえで小売商業調整特別措置法の制限をみていくと
「小売市場の許可規制は国が社会経済の調和的発展を企図するという観点から中小企業保護政策の一歩索としてとった措置」
→大企業ではなく中小企業を保護するための措置
「目的において一応の合理性が認められ、その規制の手段、態様においてもそれが著しく不合理であることが認められないため、憲法22条に反しない」
→さっきの立法府に任される部分に照らして、政策が不合理ではないから違憲にはならない
小売商業というのは、小売店が集まっているショッピングモールのような施設のことです。
これを既存の小売市場、つまり商店街などの市場の近くに建設したらどうでしょうか。
あっという間に客がショッピングモールの方に流れていき商店街で店舗を営む人たちは一気に収入が減ってしまうかもしれません。
これでは社会経済全体の均衡もとれず調和的発展も図れないということになります。
これを実現するため、小売商業の開業規制を設けて既存のお店を保護する法律でした。
これは、社会的に地位の低い人・貧しい人を保護する観点から消極目的規制と比べて「積極目的規制」といわれています。
今回は、積極目的規制によって営業の自由が制限されることを覚えましょう。
積極目的規制にも消極目的規制にも当たらないとされた判例はこちらになります。
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