憲法判例【薬局距離制限訴訟】と憲法22条営業の自由・消極目的規制
みなさん、こんにちは!
今日は、薬局距離制限訴訟を解説します。
参考サイトは最高裁判決になります。
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争点
薬局開設に距離制限を定めた薬事法の規定が、憲法で保障される営業の自由を制限しているか
判決
本件などの距離制限の合憲性を認める際は「重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることを要」するとしました
また、「自由な職業活動が社会公共に対してもたらす弊害を防止するための消極的」措置の場合
「許可制に比べて職業の自由に対するよりゆるやかな制限である職業活動の内容及び態様に対する規制によつては右の目的を十分に達成することができないと認められることを要する」としました。
どういうことかというと、
自由に競争させることで公共の利益を害するおそれがある
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薬事法の規定の場合、自由に競争させて店舗が過密状態になると、供給する薬品の質が落ちてることによって公共の利益を害してしまうということです。
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その公共の利益を害することを防止するための規制(距離制限)は、その規制がないと良い質の薬品を供給するという目的を達成することができないと認められること(今回の例でいえば)
これを踏まえて、適正配置基準(距離制限)が合憲か見ていきましょう。
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最高裁
この適正配置基準が必要かつ合理的であり、薬局の業務等に規制をしてもいい薬品を提供できなくなるおそれがあるとするなら
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その適正配置基準を薬局開設の許可条件の一つとするのは、憲法22条に違反しないとしました。
ただ、最高裁も述べるように問題は距離制限に、必要性と合理性の存在を認めることができるかとしています。
そして、様々な事情を検討したうえで、
「競争の激化―経営の不安定―法規違反という因果関係に立つ不良医薬品の供給の危険が、薬局等の段階において、相当程度の規模で発生する可能性があるとすることは、単なる観念上の想定にすぎず、確実な根拠に基づく合理的な判断とは認めがたい」としました。
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薬局開設を自由にすると経営が不安定になり質の悪い薬品を供給するようになるというのは単なる想定でしかないということです。
この想定は合理的な判断とは言えず薬事法の薬局開設時の距離制限は違憲とされました。
薬事法の距離制限規定は違憲だったと思って終わってもいいですが、あと一つ、言いたいことがあります。
今回の薬事法の距離制限悪質の医薬品の供給を防ぎ公共の利益を守る目的をもって国民の健康・生命を守ろうとしていた点から「消極目的規制」と呼ばれます。
試験で出てくる用語なので意味も理解しておきましょう。
積極目的規制に当たるとされた判例がこちらになります。
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消極目的規制にも積極目的規制にも当たらないとされた判例はこちらになります。