司法試験平成29年民法短答式試験第35問【遺留分】

みなさん、こんにちは!

今日は【成年後見】を解説していきます。

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 〔第35問〕(配点:2)

遺留分に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものはどれか。(解答欄は,[№35])

1.被相続人Aの子Bが相続放棄をした場合,Bの子Cが遺留分権利者となる。

2.自己を被保険者とする生命保険契約の契約者が,死亡の半年前に死亡保険金の受取人を相続人の一人に変更した場合,遺留分権利者は,その変更行為の減殺を請求することができる。

3.特別受益に当たる贈与について,贈与者である被相続人がその財産の価額を相続財産に算入することを要しない旨の意思表示(持戻し免除の意思表示)をした場合であっても,その贈与の価額は遺留分算定の基礎となる財産の価額に算入される。

4.遺留分減殺請求権は,遺留分権利者が,相続の開始を知った時から1年間行使しないときは,時効によって消滅する。

5.相続の開始前に遺留分を放棄することはできない。

問題『http://www.moj.go.jp/content/001224569.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001225946.pdf』 

1について

相続放棄をすれば、その人は最初から相続人にならなかったとみなされますし、その子にも相続は起こりません。

そのため、解答は✖となります。

 

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2について

民法1031条

遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる。 

判例:最高裁判決平成14年11月5日

判例では「 自己を被保険者とする生命保険契約の契約者が死亡保険金の受取人を変更する行為は,民法1031条に規定する遺贈又は贈与に当たるものではなく,これに準ずるものということもできない」と述べられます。

保険金の受取人の変更行為は1031条に規定する贈与・遺贈に該当せず、それに準ずるものではないため、滅殺を請求することができません。

そのため、解答は✖となります。

3について

判例:最高裁判決平成24年1月26日

判例では「特別受益に当たる贈与についてされた当該贈与に係る財産の価額を相続財産に算入することを要しない旨の被相続人の意思表示が遺留分減殺請求により減殺された場合,当該贈与に係る財産の価額は,上記意思表示が遺留分を侵害する限度で,遺留分権利者である相続人の相続分に加算され」と述べられます。

3の場合に、贈与の価額は遺留分権利者である相続人の相続分に加算されるので、解答は◯となります。

4について

民法1042条

減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。

1042条に基づいて、遺留分滅殺請求権は相続開始から10年で消滅するので、「相続の開始を知った時から」ではありません。

そのため、解答は✖となります。

5について

民法1043条1項

相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。 

遺留分は相続開始前に放棄することができるので、解答は✖となります。

 

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