司法試験平成29年民法短答式試験第29問【寄託】

みなさん、こんにちは!

今日は【寄託】を解説していきます。

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〔第29問〕(配点:2)

寄託に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。なお,次のアからエまでの各記述の寄託は,消費寄託ではないものとする。(解答欄は,[№29])

ア.受寄者は,無償で寄託を受けた場合には,自己の財産に対するのと同一の注意をもって,寄託物を保管すれば足りる。

イ.寄託者は,有償か無償かを問わず,過失なく寄託物の性質若しくは瑕疵を知らなかったとき,又は受寄者がこれを知っていたときを除いて,寄託物の性質又は瑕疵によって生じた損害を受寄者に賠償しなければならない。

ウ.受寄者は,寄託者の承諾を得なければ,寄託物を使用し,又は第三者にこれを保管させることができない。

エ.受寄者は,寄託物の返還時期の定めがあるときであっても,寄託者に対して返還する旨の通知をした後,相当の期間が経過すれば,返還時期の前に寄託物を返還することができる。

オ.消費寄託における寄託者は,寄託物の返還時期の定めがあるときであっても,いつでも寄託物の返還を請求することができる。

1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ

問題『http://www.moj.go.jp/content/001224569.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001225946.pdf

アについて

民法659条

無報酬で寄託を受けた者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負う。 

無償で寄託をうけた受寄者は「自己の財産に対するのと同一の注意をもって」管理する義務を負います。

そのため、解答は◯となりますが、無償の場合は善管注意義務まで負いません。

 

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イについて

民法661条

寄託者は、寄託物の性質又は瑕疵によって生じた損害を受寄者に賠償しなければならない。ただし、寄託者が過失なくその性質若しくは瑕疵を知らなかったとき、又は受寄者がこれを知っていたときは、この限りでない。

民法661条より、寄託者が寄託物の性質・瑕疵によって生じた損害を受寄者に賠償する必要があることが明らかです。

そのため、解答は◯となります。

ウについて

民法658条1項

受寄者は、寄託者の承諾を得なければ、寄託物を使用し、又は第三者にこれを保管させることができない。 

民法658条1項より明らかなので、解答は◯となります。

エについて

民法663条2項

返還の時期の定めがあるときは、受寄者は、やむを得ない事由がなければ、その期限前に返還をすることができない。 

返還時期の定めがある場合は、受寄者はやむを得ない事由がないと期限前に返還を請求できません。

そのため、解答は✖となります。

オについて

民法666条

第五節(消費貸借)の規定は、受寄者が契約により寄託物を消費することができる場合について準用する。

前項において準用する第591条第1項の規定にかかわらず、前項の契約に返還の時期を定めなかったときは、寄託者は、いつでも返還を請求することができる。

民法591条1項

当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができる。

返還時期の定めがない場合ときにはいつでも返還を請求できますが、返還時期の定めがあるときはそうとは限りません。

いつでも返還請求ができるわけではなくなるので、解答は✖となります。以上より、エ=オ=✖なので解答は5となります。

 

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