司法試験平成29年民法短答式試験第27問【売買契約】

みなさん、こんにちは!

今日は【売買契約】を解説していきます。

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〔第27問〕(配点:2)

A所有の甲土地をBがCに対して売り渡す旨の契約(以下「本件売買契約」という。)が締結された場合に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№27])

ア.本件売買契約が締結された時に,Aが甲土地を他の者に譲渡する意思がなく,BがAから甲土地の所有権を取得することができない場合であっても,本件売買契約は有効に成立する。

イ.Bが死亡し,AがBを単独で相続したときは,Aは,Cに対し,甲土地の売主としての履行を拒むことはできない。

ウ.Cが甲土地の引渡しをBから受けるのと同時にBに対して甲土地の代金を支払ったが,Bが甲土地の所有権を取得することができなかったことから,Cは,本件売買契約を解除した。その後,CがAから甲土地の引渡しを請求されたときは,Cは,Bから甲土地の代金の返還を受けるまで,甲土地を留置することができる。

エ.本件売買契約が締結された時にBが甲土地の所有権がBに属しないことを知らず,Cが甲土地の所有権がBに属しないことを知っていた場合において,Bが甲土地の所有権を取得してCに移転することができないときは,Bは,Cに対し,甲土地の所有権を移転することができない旨を通知して,本件売買契約を解除することができる。

オ.Cが本件売買契約の締結時に甲土地の所有権がBに属しないことを知らなかった場合において,Bが甲土地の所有権を取得してCに移転することができないときは,Cは,甲土地の所有権がBに属しないことを知った時から1年以内に限り,本件売買契約を解除することができる。

1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ

問題『http://www.moj.go.jp/content/001224569.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001225946.pdf

アについて

民法560条

他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。

民法561条

前条の場合において、売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の時においてその権利が売主に属しないことを知っていたときは、損害賠償の請求をすることができない。

判例:最高裁判決昭和25年10月26日(裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面

他人の物の売買において、所有権を取得して買主に移転できない場合でも売買契約は有効に成立するので、解答は◯となります。

イについて

判例:最高裁判決昭和48年9月4日( 裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面

要旨では「 他人の権利の売主をその権利者が相続し売主としての履行義務を承継した場合でも、権利者は、信義則に反すると認められるような特別の事情のないかぎり、右履行義務を拒否することができる。」と述べられます。

イのような場合は特別の事情がなければ履行義務を拒否できるので、解答は✖となります。

ウについて

判例:最高裁判決昭和51年2月13日(裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面

要旨では「 売買契約に基づき目的物の引渡を受けていた買主は、民法五六一条により右契約を解除した場合でも、原状回復義務の内容として、解除までの間目的物を使用したことによる利益を売主に返還しなければならない」と述べられます。

権利を取得できず、561条にしたがって契約を解除しても、原状回復義務として目的物を返還する必要が生じることになります。

そのため、Cは留置権を主張して目的物の引き渡しを拒むことはできないので、解答は✖となります。

エについて

 

売り主であるBが他人物売買であることについて善意であれば、売り主から契約解除をすることができます。

そのため、解答は◯となります。

オについて

全部他人物売買の場合には、契約解除の期間の制限はないので解答は✖となります。

以上、ア=エ=◯・イ=ウ=オ=✖なので解答は2となります。

 

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